日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG24] アルマによる惑星科学の新展開

2019年5月29日(水) 09:00 〜 10:30 105 (1F)

コンビーナ:武藤 恭之(工学院大学 教育推進機構)、百瀬 宗武(茨城大学理学部)、佐川 英夫(京都産業大学理学部)、下条 圭美(国立天文台)、座長:武藤 恭之

09:45 〜 10:00

[PCG24-04] 巨大氷惑星のサブミリ波による大気組成制約と熱進化への影響

★招待講演

*黒崎 健二1生駒 大洋2 (1.名古屋大学大学院 理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻、2.東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)

キーワード:巨大氷惑星、大気

太陽系内には天王星と海王星の二つの巨大氷惑星が存在する.ボイジャー2号によって天王星は1986年に,海王星は1989年に探査が行われ,大気の放射強度や重力モーメントなど内部構造や大気構造を推定する上で重要なデータを獲得した.現在では地上望遠鏡を用いて大気の観測が行われ,サブミリ波領域での大気吸収特性も調べられている.サブミリ波による大気吸収スペクトルの観測によると,天王星では目立った吸収線が見られない一方で,海王星にはHCNやCOの吸収線が存在し,天王星と海王星の大気組成が互いに異なっていることがわかっている.大気上端におけるCO量が観測により示されれば,惑星の持つO/Hの制約が可能になり,これは天王星や海王星の重元素量を大気観測を通して制約することにつながる.また,このような大気構造の違いによって惑星の熱進化に対しても影響を及ぼし,二つの惑星の内部構造や熱進化・起源の違いを理解する上で重要になると考考えられる.
 本講演では,太陽系巨大氷惑星に対象を絞り,これら二つの天体に対して行われたサブミリ波領域で過去にどのような観測と大気モデルが提唱されていたかを議論する.また,大気組成の違いが与える熱進化への影響や天王星と海王星の違いの原因についても議論する.