日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM11] Dynamics of Magnetosphere and Ionosphere

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 A04 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:中溝 葵(情報通信研究機構 電磁波研究所)、尾崎 光紀(金沢大学理工研究域電子情報学系)、藤本 晶子(九州工業大学)、堀 智昭(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、座長:北村 成寿(東京大学大学院理学系研究科)、佐藤 由佳(日本工業大学)、西野 真木(名古屋大学宇宙地球環境研究所)

15:30 〜 15:45

[PEM11-25] 静止軌道磁場の変化に伴う10MeVプロトンの異常増加

*小原 隆博1 (1.東北大学 惑星プラズマ大気研究センター)

キーワード:静止軌道、10MeVプロトン増加、磁場の変化

静止軌道での磁場の引き伸ばし(thinning)に伴い、10MeVプロトンのフラックスが急激に増加した例が見つかった。磁気圏外・太陽風中では、対応する10MeVプロトンの増大が見られなかった事から、10MeVプロトンの増加は, 磁気圏が関与した事になる。10MeVプロトンを観測したGOES13/15衛星の地方時は20時で、プロトンの増加は、磁場引き伸ばし(thinning)の開始から始まった。同じくGOES衛星で計測している2MeV電子のフラックスは、磁場引き伸ばし(thinning)の開始で減少し、その後の双極子化(dipolarization) で増加したが、10MeVプロトンは、双極子化(dipolarization)では減少せずにフラックスを維持した。GOES13/15衛星位置での10MeVプロトン増加に先立つこと3時間前、太陽風衝撃波が地球磁気圏に到達した。この時、GOES衛星は6.5MeVのプロトンの増加を観測した。6.5 MeV プロトンは、磁気圏境界面で、太陽風衝撃波によって生成されたと考えられる(Shimazu and Tanaka, 2005)。10MeVプロトンも衝撃波の到来によって生成され、磁気圏内に侵入したと考えられるが、エネルギーが大きい事から,静止軌道位置には達せずに周辺に存在していた。そして、磁場の引き伸ばし(thinning)が起きたことによって、10MeVプロトンが静止軌道位置まで到達したと思われる。本イベントは、衝撃波によって生成された1~10MeVのエネルギーを持ったプロトンが、磁気圏の形状の変化によって、静止軌道位置で観測されるタイミングに時間差を生じた点で興味深いので、更に、同様の例を集めている。