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[PEM17-04] 球内部のMHDシミュレーション手法と可視化ツール
キーワード:磁気流体力学、球、MHD simulation、可視化
我々はここ数年、球領域内部での電磁流体力学(MHD)現象の計算機シミュレーションを実現するためにいくつかのシミュレーションツールと可視化ツールを開発してきた。計算スキームは、Yin-Yang-Zhongグリッド[1]上の差分法である。
シミュレーションコードは、Fortran 2003またはeFortran [2]で書いている。eFortranとは我々が提案しているFortran 2008言語の方言であり、その主な機能はとして以下が挙げられる: メンバーアクセス演算子として%ではなくピリオドの使用、加算代入演算子等(+=等)の導入、マクロ定義、暗黙の型宣言の自動チェック、"just once"ブロック、"skip" ブロック等の導入。我々はeFortran方言で書かれたコードをFortran 2008コードに変換するためのPythonスクリプトを開発し利用している。これはシンプルなテキストコンバータで、入力方言と出力標準コードの行番号を変えないのが特徴である。
我々は球体における緩和過程のMHDシミュレーションを行った[5]。球は境界面上で横方向の動圧を及ぼさないので、流れと磁場が共存するMHD緩和過程を観察することができる。我々は磁場と流れ場が共存するいくつかの興味深い構造を見つけた。
球状MHDソルバーの興味深い応用問題の1つは、電気伝導性をもつ球状固体領域を内側に持つ球殻対流である。この場合、球殻領域での対流で生成された磁場が、内側の球領域内に浸透・保持される。我々はゆっくりと自転する薄い球殻対流系を解き、リング状または渦巻き状に組織化された対流パターンがダイナモを効果を持つこと、また内側の電気伝導性の球領域がその磁場の生成過程に大きな役割を果たすことを確認した。
我々はYin-Yang-Zhongシミュレーションコードを歳差運動する球内のMHD流のシミュレーションにも応用した。以前の研究で報告されているいくつかのパラメータ領域において、歳差運動による流れで磁場が生成されることを確認した上で、その磁場の構造と発生メカニズムを詳細に解析した。
これらのシミュレーション結果を可視化する目的で、我々はYin-Yang格子またはYin-Yang-Zhong格子を用いたシミュレーション用に2種類の可視化ツールを開発した。一つはベクターグラフィックス形式(EPS)の2次元(断面)in-situ可視化ライブラリ[3]であり、もう一つは可視化フレームワークKVS(Kyoto Visualization System)に基づいた先進的な3次元可視化ツールである[4]。
References
[1] Hiroshi Hayashi and Akira Kageyama. Yin-Yang-Zhong grid: An overset grid system for a sphere. Journal of Computational Physics, 305:895– 905, 2016.
[2] Shin’Ya Hosoyamada and Akira Kageyama. A Dialect of Modern Fortran for Computer Simulations. Proceedings of AsiaSim 2018, CCIS 946, 90:439–448, 2018.
[3] Akira Kageyama. Magnetohydrodynamics Simulation in a Sphere by Yin-Yang-Zhong Grid. Proceedings of the 6th International Conference on Simulation and Modeling Methodologies, Technologies and Applications, (Simultech):239–243, 2016.
[4] Naohisa Sakamoto and Koji Koyamada. KVS: A simple and effective framework for scientific visualization. J. Adv. Simulation. Sci. Eng., 2(1):76–95, 2015.
[5] Kohei Yamamoto and Akira Kageyama. MHD relaxation with flow in a sphere. Procedia Computer Science, 80(2):1374–1381, 2016.
シミュレーションコードは、Fortran 2003またはeFortran [2]で書いている。eFortranとは我々が提案しているFortran 2008言語の方言であり、その主な機能はとして以下が挙げられる: メンバーアクセス演算子として%ではなくピリオドの使用、加算代入演算子等(+=等)の導入、マクロ定義、暗黙の型宣言の自動チェック、"just once"ブロック、"skip" ブロック等の導入。我々はeFortran方言で書かれたコードをFortran 2008コードに変換するためのPythonスクリプトを開発し利用している。これはシンプルなテキストコンバータで、入力方言と出力標準コードの行番号を変えないのが特徴である。
我々は球体における緩和過程のMHDシミュレーションを行った[5]。球は境界面上で横方向の動圧を及ぼさないので、流れと磁場が共存するMHD緩和過程を観察することができる。我々は磁場と流れ場が共存するいくつかの興味深い構造を見つけた。
球状MHDソルバーの興味深い応用問題の1つは、電気伝導性をもつ球状固体領域を内側に持つ球殻対流である。この場合、球殻領域での対流で生成された磁場が、内側の球領域内に浸透・保持される。我々はゆっくりと自転する薄い球殻対流系を解き、リング状または渦巻き状に組織化された対流パターンがダイナモを効果を持つこと、また内側の電気伝導性の球領域がその磁場の生成過程に大きな役割を果たすことを確認した。
我々はYin-Yang-Zhongシミュレーションコードを歳差運動する球内のMHD流のシミュレーションにも応用した。以前の研究で報告されているいくつかのパラメータ領域において、歳差運動による流れで磁場が生成されることを確認した上で、その磁場の構造と発生メカニズムを詳細に解析した。
これらのシミュレーション結果を可視化する目的で、我々はYin-Yang格子またはYin-Yang-Zhong格子を用いたシミュレーション用に2種類の可視化ツールを開発した。一つはベクターグラフィックス形式(EPS)の2次元(断面)in-situ可視化ライブラリ[3]であり、もう一つは可視化フレームワークKVS(Kyoto Visualization System)に基づいた先進的な3次元可視化ツールである[4]。
References
[1] Hiroshi Hayashi and Akira Kageyama. Yin-Yang-Zhong grid: An overset grid system for a sphere. Journal of Computational Physics, 305:895– 905, 2016.
[2] Shin’Ya Hosoyamada and Akira Kageyama. A Dialect of Modern Fortran for Computer Simulations. Proceedings of AsiaSim 2018, CCIS 946, 90:439–448, 2018.
[3] Akira Kageyama. Magnetohydrodynamics Simulation in a Sphere by Yin-Yang-Zhong Grid. Proceedings of the 6th International Conference on Simulation and Modeling Methodologies, Technologies and Applications, (Simultech):239–243, 2016.
[4] Naohisa Sakamoto and Koji Koyamada. KVS: A simple and effective framework for scientific visualization. J. Adv. Simulation. Sci. Eng., 2(1):76–95, 2015.
[5] Kohei Yamamoto and Akira Kageyama. MHD relaxation with flow in a sphere. Procedia Computer Science, 80(2):1374–1381, 2016.