日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM17] 宇宙プラズマ理論・シミュレーション

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 A03 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:梅田 隆行(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、天野 孝伸(東京大学 地球惑星科学専攻)、成行 泰裕(富山大学人間発達科学部)、中村 匡(福井県立大学)、座長:中村 匡(福井県立大学)、成行 泰裕

16:45 〜 17:00

[PEM17-12] ブラックホール2重星から提起される重力波の発生と重力起源の問題

*大家 寛1 (1.東北大学理学研究科地球物理学専攻)

キーワード:ブラックホールバイナリ―、銀河中心、デカメータ波電波、重力波、重力の起源

1.序論  
本研究は銀河中心より到来するデカメータ波電波パルスの分析の結果にもとづき、銀河中心部に確定されつつある超巨大ブラックホールは、単一ブラックホールでなく、自転するBinary Kerr BH であるとの結論に達している。 Binary を形成する二つの巨大ブラックホールは本論ではGaa およびGabと呼ぶが、それぞれ、スピン周期 176.4+-1.7 sec および 148.6+-1.0 secを持ち、半径 0.13 AU および、0.15 AUの円軌道を周期2200 sec で周回している。この場合の視線方向に対する軌道速度は、Gaaおよび Gabがそれぞれ光速度の18.0% および21.4 % を示し、公転面と視線方向が一致する場合を仮定すると、GaaおよびGabの質量を 太陽質量、SM単位で表すとき、それぞれ(2.27+-0.06)x10^6 SM および (1.94+-0.03)x10^6 SM となる。中性子星からの重力波放射が確認されて以来、ブラックホールからの重力波放射も中性子星の場合と同じ論法で展開されてきた。2015年9月にLIGOによって重力波が歴史上初めて観測され、以来9例の重力波観測は5SM から40SM の星質量ブラックホールの合体と報告されている。同じ論法を本研究の結果に適用すると、Gaa-Gab Binary システムは約1~10時間 で合体することになる。
2. Event Horizon と波動伝搬
 ブラックホールから重力波が発生するとする現在、広く受け入れられている重力波理論の特徴は、1)アインシュタインが最初に到達したMinkowski 時空からの摂動として仮定した重力波の時空計量をブラックホール時空に対しても仮定していること2)重力波の発生伝搬を司る逆ダランベリアンの取り扱いの際、事象限界の存在を考慮していない、すなわち中性子星の場合と区別がないことにある。 本研究では、ブラックホール時空をFree FallするMinkowski時空にて波動の伝搬を記述し、それをブラックホール時空に座標変換する論法をとり、Shwarzschild BH およびKerr BH のEvent Horizon をよぎる波動は全て位相速度、群速度ともに0となることが示された。このことは、BHから光が出ないという明白な事実と一致するとともに、BHからは重力波も出ないことを示している

3 討論および結論
LIGOの重力波観測は確かであるが、しかし、その源がブラックホールという点で誤解のパラダイムに従っている可能性がある。代案として浮かぶ重力波源は、2001 及び2004年にMazure および Mottola の提出したブラックホールと同じ質量と近い密度を持ちつつEvent Horizonをもたない天体、Gravitational Vacuum Condensation Star (Gravastar) が提言される。なお、本研究での全ての波動がEvent Horizonを通過できないという結論は、従来、重力の源として仮想されてきているGravitonも量子論レベルでは波動性をもつことから、重力の源ではありえない。重力の起源についてはアインシュタインも触れていないが、新しい提言が必要となる。