[P-EM19] 太陽物理学の最前線

[PEM19-03] 公募型小型Solar-C_EUVSTミッション

*清水 敏文¹ (1.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)

キーワード：太陽外層大気、EUV分光、衛星計画

Solar-C_EUVST衛星計画は、公募型小型衛星のミッション候補の一つとして2018年7月に選定された次期太陽観測衛星である。宇宙に如何に高温プラズマが作られ、太陽が如何にして地球や惑星に影響を及ぼしているのかという命題を探求するため、Solar-C_EUVST衛星計画は、太陽表面から太陽コロナのエネルギーと質量の輸送を理解し、宇宙プラズマ中で普遍的に起きている基礎物理過程を検証する。観測装置として極紫外線撮像分光望遠鏡(EUVST, EUV High-Throughput Spectroscopic Telescope)を搭載し、太陽大気の光球/彩層から太陽コロナに到る温度領域を隙間なく観測する。太陽大気全体に亘り、プラズマのダイナミックな現象に追随するため、EUVSTは以前に飛翔のものに較べておよそ１桁以上の性能（空間・時間分解能、波長範囲）向上させ、EUV域にある様々な輝線のスペクトルを高分散分光計測して、視線速度や温度・密度などの物理診断を行う。ミッションは、I)彩層・コロナと太陽風の形成に必要なエネルギー・質量輸送機構および散逸機構の究明、およびII)太陽面爆発現象の物理過程の解明を目指す。これら２つの科学課題を通じて、Solar-C_EUVSTミッションの使命は、どのようにして活動的な太陽が作り出されるか、という太陽物理学で最も基本的な問いに答えを出す。2025年前半にイプシロンロケットにより太陽同期極軌道に投入される構想である。本講演は、Solar-C_EUVSTミッションの概要についてお話しする。