15:00 〜 15:15
[PPS03-12] リュウグウ画像テクスチャー解析によるサブメートルスケールのボルダー全球分布解析
キーワード:リュウグウ、はやぶさ2、ボルダー
探査機はやぶさ2は、2018年6月27日にC型小惑星リュウグウに到着し、現在リュウグウの全球観測や高解像度の局所観測を行っている。これらの観測から、リュウグウ表面には、20m以上のボルダー数密度がイトカワの約2倍と、非常に多くのボルダーが存在していることが明らかとなってきている。しかし、これらの観測で得られた画像の解像度は05.-2m程度であるため、数-10m程度のボルダーまでしか検出できていない。
そこで本研究では、目視では判別できないsub-pixelから数pixel程度の小ボルダーの存在度を、画像から機械的に評価する手法を開発し、これをリュウグウに適用した。まず、はやぶさ2の着陸地点決定時の安全性評価に用いた。さらに、本手法を用いてリュウグウ上のボルダーの全球的な空間分布・サイズ分布を解析することにより、リュウグウの形成過程に関する情報を調査した。
これらの解析から、リュウグウ表面のボルダーが全球的に比較的一様な分布を取っていることが分かった。特に、ボルダーのサイズ頻度分布のべき数が、75cm以上のボルダーについて、全球平均-2.53、標準偏差0.03と非常に一様な値を持つことが分かった。このべき数は、5m以上のボルダーカウンティングで得られた結果(-2.65 ± 0.05)と整合的である。また、同様の手法を、同じく微小重力天体であるイトカワに適用したところ、べき数の全球平均-3.6、標準偏差0.83と、リュウグウと比べ非常に非一様な分布をもっていることが分かった。このことから、イトカワはGranular convectionによるものと見られる分級作用が顕著である[Miyamoto et al. 2007]が、リュウグウでは、このような分級作用が弱いということが分かった。
一方、より詳細に見ると、経度方向・緯度方向にボルダー数密度の偏りが存在することも分かった。経度方向については、東側領域は西側領域~1.4倍のボルダー数密度をもち、東西でボルダー数密度に二分性が存在することが分かった。クレーター分布[Cho et al. 2019 LPSC]や表面アルベド[Sugita et al. 2019]にも同様の傾向が見られているまた、西半球を囲んでいるトラフにおいて、ボルダー数密度が最も小さかった。このトラフは、重力ポテンシャルが高いためにより新しい表面が露出していると考えられる赤道リッジや極域と同様に、可視領域において青化の傾向が見られる。これらのことから、西半球は東半球と比べて表面物質の可動性が高い領域となっている可能性が示唆される。
また、全球観測からリュウグウには、高緯度ほどボルダー数密度が高いという、程度は小さいが有意な、緯度方向の分級作用が見られることが分かっている[Sugita et al. 2019]。我々の解析からは、特に赤道域について、緯度方向のさらに特異な傾向も見られている。赤道リッジの頂上ではボルダー数密度が比較的多く、赤道リッジの南北斜面においてボルダー数密度が小さくなっている。これは全球的な傾向とは逆の傾向を示している。特にこの傾向は東半球の赤道リッジで強く、地形傾斜角との相関(R ~ -0.73)が存在することが分かった。この結果は、観測されているボルダー分布が、過去の自転速度の早かったと言われている時代ではなく、現在の重力ポテンシャルを反映したものであることを示唆している。さらにこのことは、自転速度低下後において、表面物質の移動が起きていたことを意味する。
そこで本研究では、目視では判別できないsub-pixelから数pixel程度の小ボルダーの存在度を、画像から機械的に評価する手法を開発し、これをリュウグウに適用した。まず、はやぶさ2の着陸地点決定時の安全性評価に用いた。さらに、本手法を用いてリュウグウ上のボルダーの全球的な空間分布・サイズ分布を解析することにより、リュウグウの形成過程に関する情報を調査した。
これらの解析から、リュウグウ表面のボルダーが全球的に比較的一様な分布を取っていることが分かった。特に、ボルダーのサイズ頻度分布のべき数が、75cm以上のボルダーについて、全球平均-2.53、標準偏差0.03と非常に一様な値を持つことが分かった。このべき数は、5m以上のボルダーカウンティングで得られた結果(-2.65 ± 0.05)と整合的である。また、同様の手法を、同じく微小重力天体であるイトカワに適用したところ、べき数の全球平均-3.6、標準偏差0.83と、リュウグウと比べ非常に非一様な分布をもっていることが分かった。このことから、イトカワはGranular convectionによるものと見られる分級作用が顕著である[Miyamoto et al. 2007]が、リュウグウでは、このような分級作用が弱いということが分かった。
一方、より詳細に見ると、経度方向・緯度方向にボルダー数密度の偏りが存在することも分かった。経度方向については、東側領域は西側領域~1.4倍のボルダー数密度をもち、東西でボルダー数密度に二分性が存在することが分かった。クレーター分布[Cho et al. 2019 LPSC]や表面アルベド[Sugita et al. 2019]にも同様の傾向が見られているまた、西半球を囲んでいるトラフにおいて、ボルダー数密度が最も小さかった。このトラフは、重力ポテンシャルが高いためにより新しい表面が露出していると考えられる赤道リッジや極域と同様に、可視領域において青化の傾向が見られる。これらのことから、西半球は東半球と比べて表面物質の可動性が高い領域となっている可能性が示唆される。
また、全球観測からリュウグウには、高緯度ほどボルダー数密度が高いという、程度は小さいが有意な、緯度方向の分級作用が見られることが分かっている[Sugita et al. 2019]。我々の解析からは、特に赤道域について、緯度方向のさらに特異な傾向も見られている。赤道リッジの頂上ではボルダー数密度が比較的多く、赤道リッジの南北斜面においてボルダー数密度が小さくなっている。これは全球的な傾向とは逆の傾向を示している。特にこの傾向は東半球の赤道リッジで強く、地形傾斜角との相関(R ~ -0.73)が存在することが分かった。この結果は、観測されているボルダー分布が、過去の自転速度の早かったと言われている時代ではなく、現在の重力ポテンシャルを反映したものであることを示唆している。さらにこのことは、自転速度低下後において、表面物質の移動が起きていたことを意味する。