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[PPS06-25] 付着N体計算で探るダスト集合体の引張強度
キーワード:原始惑星系円盤、微惑星、彗星、引張強度
惑星形成において、ミクロンサイズのダストがキロメートルサイズの微惑星に成長する過程は、直接付着合体成長や不安定性による濃集など諸説あり、未だ解明されていない。一方で、原始惑星系円盤で形成中の微惑星は直接観測できないため、形成過程の検証は困難である。そこで、太陽系内の最も始原的な天体であり、微惑星の残存天体だと考えられている彗星に着目する。彗星は探査衛星による詳細な観測が可能な天体である。本研究では、Rosettaミッションによって測定された、太陽系内の彗星の一つである67P/Churyumov-Gerasimenkoの引張強度に着目した。
我々は、微惑星の引張強度から形成過程への制限ができるかどうかを探るため、ダストの直接付着相互作用(Wada et al. 2007, ApJ, 661, 320)を考慮したN体計算を用いて、ダスト集合体の引張強度を求めた。初期条件としてのダスト集合体は、形成過程を模擬して等方的かつ静的に圧縮したものを用いた(Kataoka et al. 2013, A&A, 554, A4)。数値計算の結果、引張の変位が増加するにつれて引張応力は徐々に増加し、ある時点で最大値をとることが見られ、すなわち引張強度が得られた。引張応力が最大となる付近で、ダスト内の粒子間接触の切断が発生し始めることも確認された。また、ダスト集合体の引張強度は体積充填率の1.8乗、構成粒子半径の-1乗、構成物質の表面エネルギーの1乗に比例することがわかった。さらに、引張強度が粒子間接触の切断によって決まるという半解析的なモデルを用いることで、数値計算結果を再現することにも成功した。我々のモデルで彗星67Pの引張強度を再現するには、構成粒子半径がおよそ3.3−220 µmでなければならないことも明らかとなった。従来の惑星形成論では、構成粒子半径は星間ダスト半径の0.1 µmとされており、本研究の見積りとは異なる。構成粒子サイズの時間進化等の再検討が今後必要となる。
我々は、微惑星の引張強度から形成過程への制限ができるかどうかを探るため、ダストの直接付着相互作用(Wada et al. 2007, ApJ, 661, 320)を考慮したN体計算を用いて、ダスト集合体の引張強度を求めた。初期条件としてのダスト集合体は、形成過程を模擬して等方的かつ静的に圧縮したものを用いた(Kataoka et al. 2013, A&A, 554, A4)。数値計算の結果、引張の変位が増加するにつれて引張応力は徐々に増加し、ある時点で最大値をとることが見られ、すなわち引張強度が得られた。引張応力が最大となる付近で、ダスト内の粒子間接触の切断が発生し始めることも確認された。また、ダスト集合体の引張強度は体積充填率の1.8乗、構成粒子半径の-1乗、構成物質の表面エネルギーの1乗に比例することがわかった。さらに、引張強度が粒子間接触の切断によって決まるという半解析的なモデルを用いることで、数値計算結果を再現することにも成功した。我々のモデルで彗星67Pの引張強度を再現するには、構成粒子半径がおよそ3.3−220 µmでなければならないことも明らかとなった。従来の惑星形成論では、構成粒子半径は星間ダスト半径の0.1 µmとされており、本研究の見積りとは異なる。構成粒子サイズの時間進化等の再検討が今後必要となる。