09:30 〜 09:45
[PPS06-27] 微惑星の衝突破壊: 物質強度依存性
キーワード:惑星形成、衝突過程
太陽の周りの公転している惑星や小天体は天体同士の衝突による合体及び破壊で形成されたため、衝突現象は太陽系形成において非常に重要な物理過程といえる。天体は様々な規模の衝突を経験しており、破壊規模は衝突エネルギーQR (初期のインパクターの運動エネルギーを標的天体の質量で割った単位質量あたりのエネルギー)に依存する。特に衝突によって標的天体の質量が元の半分となる時のエネルギーは臨界衝突エネルギーQRD*と呼ばれ、その値や性質は実験や衝突シミュレーションを用いて研究されてきた (e.g., Benz & Asphaug 1999)。その結果、QRD*の値は衝突速度、標的天体のサイズ、物質強度、さらに計算解像度にも依存することが明らかとなった (e.g., Jutzi 2015, Genda et al. 2015)。こうした結果は、主にSPH法で得られていたが、最近、我々はメッシュ法による衝突シミュレーションを行い、高解像度の計算では、SPH法によって得られたQRD*の値とよい一致を示すことを明らかにした (Suetsugu et al. 2018)。この研究では天体の物質強度などの組成の効果は入れていなかったが、実際には天体の組成もQRD*の値に影響を与えうると考えられている (Jutzi 2015)。しかし、こうした天体組成とQRD*の値の詳細な関係は調べられておらず、不明な点が多い。
そこで本研究では、衝突シミュレーションコードの一つで、弾性・塑性モデル,破壊モデル,空隙モデルなどが導入されているiSALE (Amsden et al. 1980, Ivanov al. 1997, Wunnemann et al. 2006) を用いて微惑星破壊の計算を行い、物質強度を考慮した時のQRD*の値や、QRD*の解像度及び物質強度への依存性について調べた。その結果、物質強度を考慮した場合でも、天体の大規模破壊に必要とされるエネルギーQRD*の値は計算解像度に依存することがわかった。各解像度から得られたQRD*の値をフィッティングすることで得られた収束値は、標的天体の半径が100kmの場合、約88.6 kJ/kgであり、これは物質強度の無い場合にくらべ5倍ほど高い値となった。また標的天体のサイズに対するQRD*の依存性も調べたが、どのサイズにおいても物質強度が無い場合にくらべ、QRD*の値は3~10倍程度増加した。また衝突後のイジェクタの量は、天体を構成する物性の摩擦係数によっても影響をうけるが、現実的な摩擦係数を使う限り、その依存性は小さいことがわかった。
そこで本研究では、衝突シミュレーションコードの一つで、弾性・塑性モデル,破壊モデル,空隙モデルなどが導入されているiSALE (Amsden et al. 1980, Ivanov al. 1997, Wunnemann et al. 2006) を用いて微惑星破壊の計算を行い、物質強度を考慮した時のQRD*の値や、QRD*の解像度及び物質強度への依存性について調べた。その結果、物質強度を考慮した場合でも、天体の大規模破壊に必要とされるエネルギーQRD*の値は計算解像度に依存することがわかった。各解像度から得られたQRD*の値をフィッティングすることで得られた収束値は、標的天体の半径が100kmの場合、約88.6 kJ/kgであり、これは物質強度の無い場合にくらべ5倍ほど高い値となった。また標的天体のサイズに対するQRD*の依存性も調べたが、どのサイズにおいても物質強度が無い場合にくらべ、QRD*の値は3~10倍程度増加した。また衝突後のイジェクタの量は、天体を構成する物性の摩擦係数によっても影響をうけるが、現実的な摩擦係数を使う限り、その依存性は小さいことがわかった。