日本地球惑星科学連合2019年大会

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[E] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG49] ハードロック掘削科学~陸上掘削から深海底掘削、そしてオマーン~

2019年5月28日(火) 10:45 〜 12:15 A07 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、高澤 栄一(新潟大学理学部地質科学科)、秋澤 紀克(東京大学 大気海洋研究所 海洋底科学部門)、座長:森下 知晃(金沢大学)、道林 克禎

11:30 〜 11:45

[SCG49-15] Oman Drilling Project Phase IIから採取されたハルツバージャイトの高圧条件下における地震波異方性

*畠山 航平1片山 郁夫1阿部 なつ江2The Oman Drilling Project Phase II Science Party (1.広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻、2.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード:オマーンオフィオライト陸上掘削、ハルツバージャイト、異方性、選択配向、輝石、クラック

オマーンオフィオライトの陸上掘削計画であるOman Drilling Project Phase IIでは,かつての海洋マントルに相当する掘削が行われた.これらのコア記載が掘削船ちきゅう船内で行われ,大気圧下で測定されたハルツバージャイトのP波速度は掘削孔の深さ方向(Z方向)が直交する2方向(X, Y方向)よりも遅い傾向が見られ、4%程度の異方性を示した(ChikyuOman2018).海洋マントルではカンラン石の選択配向が原因と考えられる異方性が観測される一方で,オフィオライトのハルツバージャイトのカンラン石はほとんど蛇紋石に置換されており,輝石の選択配向による異方性が示唆される.また、空隙が選択配向している場合においても弾性波速度に異方性を生じ,間隙流体の種類によって異方性の大きさは変化する(Anderson et al., 1974).大気圧下での測定ではこれらの要因が混在しているため、掘削試料における異方性の支配的要因は明らかにされていない.そこで本研究ではOman Drilling Projectから採取されたハルツバージャイトの弾性波速度を高封圧下で測定し、空隙が閉鎖した条件下での異方性を調べる.
実験試料にはOman Drilling Project Phase II のHole BA1BおよびHole BA3Aから採取されたハルツバージャイトを用いる.これらの試料の密度および空隙率は2.60―2.64 g/cm3,0.5%―1.0%である.実験には広島大学設置の容器内変形透水試験機を使用し,弾性波速度はZ方向とそれに直交するY方向を測定する.実験手順は,無水条件の速度を測定した後,間隙水を注入した含水条件の測定を連続して行なう.どちらの条件においても封圧200 MPaまでの測定を行い、間隙水圧はシリンジポンプを使用することで一定(10 MPa)に制御する.弾性波速度は電圧5 V,周波数2 MHzの1周期の正弦波を印加するパルス透過法からP波とS波を測定する.
Hole BA3Aの試料を用いた予察的な実験では,封圧200MPaの無水条件においてY方向のP波速度とS波速度は5.86 km/s,3.03 km/s,Z方向では5.49 km/s,2.95 km/sを示した.異方性はP波速度で6.5%,S波速度で2.7%であり,高封圧条件下においても顕著な異方性が認められた.これらの結果から弾性波速度の異方性は鉱物の選択配向が支配的である可能性が高い.