[SCG49-P11] Kalaymyoオフィオライトカンラン岩の構造岩石学的研究
キーワード:Kalaymyoオフィオライト、カンラン岩、メルト-岩石反応、J-index
Kalaymyoオフィオライトはミャンマーに位置している.Kalaymyoオフィオライトは大規模なカンラン岩体を有し,そこではカンラン岩は一般的に新鮮である.近年,Kalaymyoカンラン岩において岩石学的,地球化学的手法による研究が行われており,それらの結果によるとKalaymyoカンラン岩はメルト-岩石反応を経験している.本研究では掘削コアと露頭で採取された試料,全14試料のカンラン石の結晶方位解析とカンラン石とスピネルの主要元素組成分析を行った.本研究の試料は粗粒で等粒状の組織を示した.カンラン石とスピネルの主要元素組成はOSMAの領域にプロットされることから,本研究の試料は部分溶融後の上部マントルの溶け残り岩であることが示される.またCr#が0.3より高いスピネルはTiO2含有量が比較的高い(0.10-0.20 wt.%).Tiは不適合元素であるので,高いTiO2含有量はカンラン岩がメルト-岩石反応を経験した指標になる.本研究の試料ではJ-indexとスピネルのCr#の間に正の相関が見られた.この相関は2つのトレンドを示す.ひとつはスピネルのCr#の増加に対してJ-indexが強く増加するもので,もうひとつはJ-indexの増加が弱いものである.メルト-岩石反応を経験した試料はJ-indexの増加が弱いトレンドに属す.したがって,メルト-岩石反応によるメルトの浸透は変形,特にCPOの発達に影響を与えると考えられる.またメルト-岩石反応は変形と同時に生じたと考えられる.メルト-岩石反応を経験した試料は採取された標高に関して狭い範囲に集中することから,Kalaymyoオフィオライトでのメルト-岩石反応は局所的であったことが考えられる.