11:15 〜 11:30
[SCG52-03] 天然産(Na,REE,Ca)(Ti, Nb)O3ペロブスカイト型結晶の構造精密化とXAFS法による微量元素の局所構造
キーワード:ペロブスカイト、XAFS、結晶構造解析、ロパライト
ペロブスカイト型化合物ABX3は、強誘電性や圧電性など様々な物性を発現し、組成・圧力・温度によって対称性が変化し、BX6八面体により構成されるフレームワークのさまざまな変形が起こる。固溶体においても強誘電性やパラ誘電性、超イオン導電性等を発現する。最近では太陽電池の材料としても注目されている。
地球科学として重要な鉱物であるNaやREEのペロブスカイト型鉱物は地球内部に存在するThやREEなどの微量元素のホスト相となっている。しかし天然産ペロブスカイト型構造中に含まれる希土類元素や多種の重金属イオンについての詳細な局所構造研究は少ない。本研究では固溶体の構造特性や含有元素の局所構造特性、放射性元素による不規則性の増加等について報告する。
JEOL製走査型電子顕微鏡 SEM JSM-7001FとOxford社製エネルギー分散型X線分析装置 EDS INCA SYSTEMを用いた化学組成の分析、また高エネルギー加速器研究機構(KEK)のBL-9CおよびNW10Aを用いたXAFS解析による局所構造や酸化状態の解析、Rigaku XtaLAB Super Novaを用いた単結晶構造の精密化を行った。今回試料として扱うRussia, Kola, Mt. Khibiny産出の鉱物 (Na0.567 Ce0.170 La0.135 Ca0.068 Sr0.015 Nd0.009 Th0.005 Pr0.004 Fe2+0.001 Y0.000)0.974 (Ti0.749 Nb0.250 Ta0.005 V0.004 Mn0.000)1.008 O3はLueshite Na+Nb5+O3、Loparite Na+REE3+Ti4+2O6、Perovskite Ca2+Ti4+O3、Tausonite Sr2+Ti4+O3を端成分にもつ固溶体である。(Mitchell and Chakhmouradian 2000)SEM-EDS分析によって周縁部でNaAlSi3O8を主体としたアルバイトが存在することがわかった。したがって単結晶X線回折実験は中心部から拾った非双晶結晶を用いて行った。
Loparite は結晶構造について様々な議論がなされてきた。(Haggerty and Mariano 1983, Vlasov 1966, Mitchell 1996, Zubkova et al. 1998, Chakhmouradian et al. 1999, Mitchell et al. 2000)私たちは今回の試料を用いて先行研究で挙げられてきた菱面体晶、正方晶、直方晶での解析を試みた。菱面体晶: 空間群R-3c、a = 5.5077(2)、c = 13.4906(5)、正方晶: 空間群I4/mcm、a = 5.5166(6)、c = 7.7814(10)、直方晶: 空間群Pbnm、a = 5.5142(5)、b = 5.5085(7)、c = 7.7961(8) より精密な構造解析から、Loparite構造の相転移等について議論を進める。
スペクトル解析によるFeのXANESスペクトルの形状から、前回私が調査したCe-perovskiteと同様に、含有するFeの酸化状態が2価であることが判明した。Ti K-edgeスペクトルではpre-edgeのピーク強度からTi周囲の局所的歪みがかなり大きいことが読み取れる。Nbの置換により、固溶体中の八面体部位におけるTiの局所的歪みはCaTiO3端成分よりも大きく、1sから3d軌道への電子遷移確率は増加している。Th L3-edgeスペクトルではXANESが顕著になまっており、アクチノイド元素Thが放射性崩壊を起こすことでUへ変化し、局所的なメタミクト化に対応した不規則化が起こっていると解釈できる。
地球科学として重要な鉱物であるNaやREEのペロブスカイト型鉱物は地球内部に存在するThやREEなどの微量元素のホスト相となっている。しかし天然産ペロブスカイト型構造中に含まれる希土類元素や多種の重金属イオンについての詳細な局所構造研究は少ない。本研究では固溶体の構造特性や含有元素の局所構造特性、放射性元素による不規則性の増加等について報告する。
JEOL製走査型電子顕微鏡 SEM JSM-7001FとOxford社製エネルギー分散型X線分析装置 EDS INCA SYSTEMを用いた化学組成の分析、また高エネルギー加速器研究機構(KEK)のBL-9CおよびNW10Aを用いたXAFS解析による局所構造や酸化状態の解析、Rigaku XtaLAB Super Novaを用いた単結晶構造の精密化を行った。今回試料として扱うRussia, Kola, Mt. Khibiny産出の鉱物 (Na0.567 Ce0.170 La0.135 Ca0.068 Sr0.015 Nd0.009 Th0.005 Pr0.004 Fe2+0.001 Y0.000)0.974 (Ti0.749 Nb0.250 Ta0.005 V0.004 Mn0.000)1.008 O3はLueshite Na+Nb5+O3、Loparite Na+REE3+Ti4+2O6、Perovskite Ca2+Ti4+O3、Tausonite Sr2+Ti4+O3を端成分にもつ固溶体である。(Mitchell and Chakhmouradian 2000)SEM-EDS分析によって周縁部でNaAlSi3O8を主体としたアルバイトが存在することがわかった。したがって単結晶X線回折実験は中心部から拾った非双晶結晶を用いて行った。
Loparite は結晶構造について様々な議論がなされてきた。(Haggerty and Mariano 1983, Vlasov 1966, Mitchell 1996, Zubkova et al. 1998, Chakhmouradian et al. 1999, Mitchell et al. 2000)私たちは今回の試料を用いて先行研究で挙げられてきた菱面体晶、正方晶、直方晶での解析を試みた。菱面体晶: 空間群R-3c、a = 5.5077(2)、c = 13.4906(5)、正方晶: 空間群I4/mcm、a = 5.5166(6)、c = 7.7814(10)、直方晶: 空間群Pbnm、a = 5.5142(5)、b = 5.5085(7)、c = 7.7961(8) より精密な構造解析から、Loparite構造の相転移等について議論を進める。
スペクトル解析によるFeのXANESスペクトルの形状から、前回私が調査したCe-perovskiteと同様に、含有するFeの酸化状態が2価であることが判明した。Ti K-edgeスペクトルではpre-edgeのピーク強度からTi周囲の局所的歪みがかなり大きいことが読み取れる。Nbの置換により、固溶体中の八面体部位におけるTiの局所的歪みはCaTiO3端成分よりも大きく、1sから3d軌道への電子遷移確率は増加している。Th L3-edgeスペクトルではXANESが顕著になまっており、アクチノイド元素Thが放射性崩壊を起こすことでUへ変化し、局所的なメタミクト化に対応した不規則化が起こっていると解釈できる。