[SCG52-P01] 顕微分光を組み合わせた赤色花崗岩のキャラクタリゼーション
キーワード:赤色花崗岩、赤鉄鉱、顕微可視分光、色値、吸収帯強度面積マップ、SEM-EDS
佐賀県の天山花崗岩はぶどう石脈の周辺10mm程度に赤色化部分が見られる。しかし、この赤色化の原因物質がどこにどのような形態で存在しているのかはわかっていない。そこで、顕微可視・蛍光・ラマン分光測定と、低真空・非蒸着でのエネルギー分散型X線分光装置付き走査型電子顕微鏡(SEM-EDS)測定とを組み合わせたマッピング測定を行った。
暗視野可視光反射スペクトルから定量的な色値L*a*b*およびKubelka-Munk(KM)スペクトルを得た。a*が大きい赤色の部分はKMスペクトルの500~560 nmの吸収帯が大きい部分に対応しており、赤鉄鉱様鉄酸化物によるものと考えられる。一方、b*の大きい黄色の部分は450~500 nmの吸収帯が大きく、緑簾石によるものであると考えられる。SEM-EDS測定と比較すると赤色部はナトリウムまたはカリウム長石に対応していたが、鉄の濃度は0.5wt%より低いという結果が得られた。その部分のラマンスペクトルでは赤鉄鉱は確認できなかったが、天山花崗岩赤色長石のTEM観察ではサブミクロン微粒子が見られ,その一部の電子線回折パターンは赤鉄鉱のそれらと一致した。長石マトリックス中にサブミクロンの赤鉄鉱などの鉄酸化物が点在していると考えられる。
ぶどう石中にはおよそ2wt%の鉄が確認された。その部分でのKMスペクトルには430 nm付近にFe3+の配位子場によると考えられる吸収帯が見られた。このことから、ぶどう石中の鉄はAl3+を置換したFe3+として結晶構造中に存在していることが示唆された。
様々な色を持つ造岩鉱物において、鉄の物理化学形態(Fe2+かFe3+か、酸化物か結晶構造中にあるのか、など)とその分布を非破壊で解析することは困難であるが、本研究で用いた複数の分光手法を組み合わせた測定は、非破壊での鉄のキャラクタリゼーションに有効と期待される。
暗視野可視光反射スペクトルから定量的な色値L*a*b*およびKubelka-Munk(KM)スペクトルを得た。a*が大きい赤色の部分はKMスペクトルの500~560 nmの吸収帯が大きい部分に対応しており、赤鉄鉱様鉄酸化物によるものと考えられる。一方、b*の大きい黄色の部分は450~500 nmの吸収帯が大きく、緑簾石によるものであると考えられる。SEM-EDS測定と比較すると赤色部はナトリウムまたはカリウム長石に対応していたが、鉄の濃度は0.5wt%より低いという結果が得られた。その部分のラマンスペクトルでは赤鉄鉱は確認できなかったが、天山花崗岩赤色長石のTEM観察ではサブミクロン微粒子が見られ,その一部の電子線回折パターンは赤鉄鉱のそれらと一致した。長石マトリックス中にサブミクロンの赤鉄鉱などの鉄酸化物が点在していると考えられる。
ぶどう石中にはおよそ2wt%の鉄が確認された。その部分でのKMスペクトルには430 nm付近にFe3+の配位子場によると考えられる吸収帯が見られた。このことから、ぶどう石中の鉄はAl3+を置換したFe3+として結晶構造中に存在していることが示唆された。
様々な色を持つ造岩鉱物において、鉄の物理化学形態(Fe2+かFe3+か、酸化物か結晶構造中にあるのか、など)とその分布を非破壊で解析することは困難であるが、本研究で用いた複数の分光手法を組み合わせた測定は、非破壊での鉄のキャラクタリゼーションに有効と期待される。