日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG53] 活断層による環境形成・維持

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:小泉 尚嗣(滋賀県立大学環境科学部)、山野 誠(東京大学地震研究所)、笠谷 貴史(海洋研究開発機構)、濱元 栄起(埼玉県環境科学国際センター)

[SCG53-P03] 2016年に発生した福島沖地震震源域における海底地形と堆積構造

*笠谷 貴史1富士原 敏也1金松 敏也1藤倉 克則1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:2016年福島沖地震、微細地形、断層、バクテリアマット

2016年11月22日に福島県沖を震源とするM7.4の地震が発生した。この地震波プレート間地震ではなく、陸側プレート内で発生した正断層型地震であるが、東北沿岸で最大1.4mの波高の津波が観測された。地震後、震源域近傍で調査中だった「新青丸」と「よこすか」により測深機を用いた地形調査を行ったところ、複数の段差地形が検出され、既存の海底地質図に記載された断層分布とは異なる位置であった。そこで、地震直後の海底の状況を把握するため、東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」による「新青丸」KS-17-J04において、ROVハイパードルフィン(以下、HPD)を用いた調査潜航、および音響機器を用いた海底地形、堆積構造調査が行われた。HPDによる潜航は2回実施され、地形調査でシャープな地形段差が推測された地点で、形成されてから比較的新しいと考えられる、高低差1-2m程度のフレッシュな地形段差崖を確認した。露頭を観察すると、最表層は貝殻の濃集層を含む柔らかい泥層で、その下位には固結した堆積層が観察される。地形段差の底付近ではバクテリアマットと考えられる白色変色域を複数視認した。段差地形に沿って観察を行ったところ、一部で割れ目地形を伴いながら連続的に存在することが確認された。潜航した最北端の割れ目では、ヨコエビが大量に群集する様子も観察された。さらに、KM-17-J05航海では、面的に地形調査を行うと共に、段差地形を中心に400kHzのサイドスキャンソナーを用いた観測も行い、段差地形およびリニアメントの面的な分布把握を行った。