11:15 〜 11:30
[SCG54-03] フェーズフィールドモデルによるマクスウェル流体破壊挙動の数値解析
キーワード:マグマ、破壊、フェーズフィールドモデル
発泡マグマの固体的破砕は、爆発的な噴火の重要な過程である。実際の爆発における減圧時間に関する最近の推定は、破砕のスタイルが「脆性的破砕」であることを示している(Kameda et al. J. Volcanol. Geotherm. Res 2013)。すなわち、バルクのレオロジー特性が流体に近い場合でも、材料の固体状の破壊が発生する。また、実験を通して、気泡分布の空間的不均一性が脆性的破砕にいたるき裂発生の主要な原因である、という見通しを得た(Kameda et al. Sci. Rep. 2017)。
脆性的破砕を数値計算によって再現することを目指して、我々はKuhnら(Comput. Mat. Sci. 2015)によって開発されたフェーズフィールド破壊モデルを用いて粘弾性流体における破壊現象を連続体的に記述することを提案する。フェーズフィールドモデルでは、いわゆる「秩序変数」と呼ばれる場における連続変数によって、マグマと気泡(またはき裂)とを分別する。破壊の進展は、秩序変数の時間発展を記述するフェーズフィールド破壊モデルと材料の変形を記述する力学モデルを組み合わせて解くことによって得られる。数値シミュレーションのプラットフォームとして、市販のマルチフィジックスソルバー(COMSOL)を使用した。フェーズフィールド破壊モデルは、COMSOLのPDEソルバーを使用して解いた。材料の力学は、ソルバーに用意されている従来の有限要素解析(FEM)を使用して計算した。また、マグマのレオロジーは線形マクスウェル流体であると仮定した。
まず、一定の伸び率での引張試験における、切欠きを有する二次元平板のき裂進展をシミュレーションした。純粋な弾性体(図1(a))または十分に高い粘性を有する粘弾性流体(図1(b))において鋭い先端を有するき裂の拡大を得た。これに対し、粘性が中程度の粘弾性流体(図1(c))では、き裂進展が始まった後に先端が鈍頭化した。その後、さらに引張続けることによって、再びき裂が広がった。
次に、中心に大きな気泡を含む球形の多孔質材料におけるき裂の発生と伝播をシミュレートした。材料内には、大きな気泡に加えて、その近くに2つのサテライト気泡を配置した。材料外側の圧力を下げて、材料内に不均一な応力場を発生させた。その結果、サテライト気泡間に平面クラックが発生した。き裂は外側境界に達し、その後き裂が鋭く開口した。本計算におけるき裂伝播の時間スケールは、実験(Kameda et al. Sci. Rep. 2017)で観察されたスケールと同等であった。一方、この時間スケールは、Karmaら(Phys. Rev. Lett. 2001)によって提案された別のフェーズフィールド破壊モデルでシミュレートされたスケールよりもはるかに小さい。
脆性的破砕を数値計算によって再現することを目指して、我々はKuhnら(Comput. Mat. Sci. 2015)によって開発されたフェーズフィールド破壊モデルを用いて粘弾性流体における破壊現象を連続体的に記述することを提案する。フェーズフィールドモデルでは、いわゆる「秩序変数」と呼ばれる場における連続変数によって、マグマと気泡(またはき裂)とを分別する。破壊の進展は、秩序変数の時間発展を記述するフェーズフィールド破壊モデルと材料の変形を記述する力学モデルを組み合わせて解くことによって得られる。数値シミュレーションのプラットフォームとして、市販のマルチフィジックスソルバー(COMSOL)を使用した。フェーズフィールド破壊モデルは、COMSOLのPDEソルバーを使用して解いた。材料の力学は、ソルバーに用意されている従来の有限要素解析(FEM)を使用して計算した。また、マグマのレオロジーは線形マクスウェル流体であると仮定した。
まず、一定の伸び率での引張試験における、切欠きを有する二次元平板のき裂進展をシミュレーションした。純粋な弾性体(図1(a))または十分に高い粘性を有する粘弾性流体(図1(b))において鋭い先端を有するき裂の拡大を得た。これに対し、粘性が中程度の粘弾性流体(図1(c))では、き裂進展が始まった後に先端が鈍頭化した。その後、さらに引張続けることによって、再びき裂が広がった。
次に、中心に大きな気泡を含む球形の多孔質材料におけるき裂の発生と伝播をシミュレートした。材料内には、大きな気泡に加えて、その近くに2つのサテライト気泡を配置した。材料外側の圧力を下げて、材料内に不均一な応力場を発生させた。その結果、サテライト気泡間に平面クラックが発生した。き裂は外側境界に達し、その後き裂が鋭く開口した。本計算におけるき裂伝播の時間スケールは、実験(Kameda et al. Sci. Rep. 2017)で観察されたスケールと同等であった。一方、この時間スケールは、Karmaら(Phys. Rev. Lett. 2001)によって提案された別のフェーズフィールド破壊モデルでシミュレートされたスケールよりもはるかに小さい。