14:30 〜 14:45
[SCG54-10] 衝撃圧縮によるMgOの転位組織とその生成機構
キーワード:衝撃圧縮、MgO、透過電顕観察、転位のすべり系
地球惑星科学における高圧下での物質の変形現象は,静的あるいは準静的条件下と同様,衝撃圧縮条件下でも数多くみられる.しかし,静的あるいは準静的な圧縮変形による変形組織の研究に比べ,衝撃圧縮変形による変形組織の研究例は極めて限られている.本研究では,こうした衝撃圧縮変形による転位組織に着目し,地球深部物質に関係するMgOについて衝撃圧縮実験を行い,回収した試料を透過電子顕微鏡で観察し,そこに見られる転位組織の詳細を明らかにするとともに,それら転位組織が生成される機構を明らかにすることを目ざした.これらの研究結果は,隕石等の衝撃現象を解明する上で大きく貢献すると思われる.
MgOにおける変形機構で主となる転位のすべり系の挙動を比較検討するため,熊本大のパルスパワー研究所で火薬銃によりMgOの単結晶試料を<100>と<110>の異なった結晶方位方向で衝撃圧縮実験を行った.<100>方向圧縮ではピーク圧力29.3 GPaで,また<110>方向圧縮ではピーク圧力10.7 GPa と29.3 GPaの2条件で,それぞれ回収実験を行った.実験で回収した試料について愛媛大GRCの200 kV透過電子顕微鏡で観察し,それら回収試料に見られる転位の詳細を調べた.
これまでのMgOの転位のすべり系についての報告では,バーガースベクトルは常に (a1 + a2)/2で,すべり面は{110}と{100}が主であったが,今回の衝撃圧縮実験では,<100>方向圧縮の試料ではすべり面が{110}の転位しか観察されないのに対し,<110>方向圧縮ではピーク圧力10.7 GPaの試料では転位のすべり面が{110}のみであったが,ピーク圧力29.3 GPa の試料ではすべり面として{110}と{100}の両方が観察された.これらの観察結果は,衝撃圧縮実験における粒子速度履歴の観察結果に基づいてなされた予測と整合的で,MgOにおける転位のすべり面が圧力の上昇とともに{110}から{100}に変わることを示すと思われる.また,観察された転位組織の中には,静的あるいは準静的圧縮変形では見られないような転位組織も含まれていた.講演ではこうした転位組織について報告するとともに,それら転位組織の生成機構について議論する予定である.
MgOにおける変形機構で主となる転位のすべり系の挙動を比較検討するため,熊本大のパルスパワー研究所で火薬銃によりMgOの単結晶試料を<100>と<110>の異なった結晶方位方向で衝撃圧縮実験を行った.<100>方向圧縮ではピーク圧力29.3 GPaで,また<110>方向圧縮ではピーク圧力10.7 GPa と29.3 GPaの2条件で,それぞれ回収実験を行った.実験で回収した試料について愛媛大GRCの200 kV透過電子顕微鏡で観察し,それら回収試料に見られる転位の詳細を調べた.
これまでのMgOの転位のすべり系についての報告では,バーガースベクトルは常に (a1 + a2)/2で,すべり面は{110}と{100}が主であったが,今回の衝撃圧縮実験では,<100>方向圧縮の試料ではすべり面が{110}の転位しか観察されないのに対し,<110>方向圧縮ではピーク圧力10.7 GPaの試料では転位のすべり面が{110}のみであったが,ピーク圧力29.3 GPa の試料ではすべり面として{110}と{100}の両方が観察された.これらの観察結果は,衝撃圧縮実験における粒子速度履歴の観察結果に基づいてなされた予測と整合的で,MgOにおける転位のすべり面が圧力の上昇とともに{110}から{100}に変わることを示すと思われる.また,観察された転位組織の中には,静的あるいは準静的圧縮変形では見られないような転位組織も含まれていた.講演ではこうした転位組織について報告するとともに,それら転位組織の生成機構について議論する予定である.