[SCG54-P08] 島根県野山岳に産するかんらん岩捕獲岩の微細構造解析と化学組成分析~日本海拡大時の組織?~
キーワード:かんらん岩捕獲岩、日本海拡大
西南日本内帯に分布する新生代アルカリ玄武岩中には、しばしば地殻・マントル由来の捕獲岩が含まれる。本研究地域である島根県野山岳の玄武岩中には数cm~10cm程度の大きさの捕獲岩が確認できる。これらの捕獲岩を用いた岩石学的な研究は行われてきたが(平井, 1983: Abe et al., 2002: Abe and Arai, 2005)、詳細な微細構造解析は行われていない。そこで本研究は野山岳のかんらん岩捕獲岩を用いた微細構造解析と化学組成分析を行い、背弧地域の変形履歴と火成活動の関係を明らかにすることを目的とする。
薄片観察と微細構造解析より捕獲岩の岩石組織を①粗粒等粒状組織(粒径~1mm)、②細粒組織 (~50um)、③大小様々な粒径を含む組織にグループに分類した。結晶方位定向配列(EBSD法)の解析から①中粒等粒状組織と②細粒組織において、ある一定方向にかんらん石の結晶方位が集中している様子や、もとのかんらん石巨晶の方向を保存しながらの動的再結晶しているかんらん石が確認できた。③の大小様々な粒径を含む組織のグループは大きなかんらん石が直線的に割れ、その中にメルトが貫入している組織や、直線的に割れたかんらん石巨晶の間に小さなかんらん石が再結晶している組織が見られた。
かんらん石とスピネルの化学組成分析より、①粗等粒状組織はマントル起源の溶け残り岩であるのに対し、②細粒組織と③大小様々な粒径を含む組織はマグマ起源の集積岩であった。また、斜方輝石-単斜輝石温度計を用いた平衡温度は1200℃程度でありスピネル・レルゾライトが安定領域の圧力で比較的高い温度の条件で化学平衡にあったと示唆された。
上記の結果から、7.3 Maに野山岳玄武岩が噴火する前、野山岳直下は高地温勾配で多様な応力下でかんらん岩が塑性変形する条件にあったと考えられる。これは15Maごろに最も活発化した日本海拡大に起因するものではないかと考えた。またマグマ噴火時の流体圧によりかんらん石巨晶が脆性・塑性変形し、野山岳を作る玄武マグマの噴火が爆発的なものであったことが示唆される。
薄片観察と微細構造解析より捕獲岩の岩石組織を①粗粒等粒状組織(粒径~1mm)、②細粒組織 (~50um)、③大小様々な粒径を含む組織にグループに分類した。結晶方位定向配列(EBSD法)の解析から①中粒等粒状組織と②細粒組織において、ある一定方向にかんらん石の結晶方位が集中している様子や、もとのかんらん石巨晶の方向を保存しながらの動的再結晶しているかんらん石が確認できた。③の大小様々な粒径を含む組織のグループは大きなかんらん石が直線的に割れ、その中にメルトが貫入している組織や、直線的に割れたかんらん石巨晶の間に小さなかんらん石が再結晶している組織が見られた。
かんらん石とスピネルの化学組成分析より、①粗等粒状組織はマントル起源の溶け残り岩であるのに対し、②細粒組織と③大小様々な粒径を含む組織はマグマ起源の集積岩であった。また、斜方輝石-単斜輝石温度計を用いた平衡温度は1200℃程度でありスピネル・レルゾライトが安定領域の圧力で比較的高い温度の条件で化学平衡にあったと示唆された。
上記の結果から、7.3 Maに野山岳玄武岩が噴火する前、野山岳直下は高地温勾配で多様な応力下でかんらん岩が塑性変形する条件にあったと考えられる。これは15Maごろに最も活発化した日本海拡大に起因するものではないかと考えた。またマグマ噴火時の流体圧によりかんらん石巨晶が脆性・塑性変形し、野山岳を作る玄武マグマの噴火が爆発的なものであったことが示唆される。