[S-CG56] 海洋底地球科学

[SCG56-06] 反射法地震探査による石垣島北方海域の地質構造

*三澤 文慶¹、古山 精史朗^2,1、佐藤 雅彦^3,1、張 日新¹、井上 卓彦¹、荒井 晃作¹ (1.産業技術総合研究所地質情報研究部門、2.東京海洋大学、3.東京大学大学院理学系研究科)

キーワード：琉球弧、石垣島、沖縄トラフ、正断層、海底火山

産業技術総合研究所では2018年8月に石垣島北方海域にて，海洋資源探査船「白嶺」（石油天然ガス・金属鉱物資源機構所有）を用いて海洋地質調査を実施した．本航海では海底下地質構造の把握を行うために，反射法地震探査，マルチビーム音響測深装置を用いた海底地形調査，船上重力計を用いた重力異常観測，およびセシウム磁力計を用いた磁気異常観測を行った．本発表では，本航海で得られた反射法音波探査・海底地形・重磁力データをもとに石垣島北方海域の背弧側斜面域および沖縄トラフ域の海底下地質構造を報告する．

背弧側斜面域では2面の不整合面を認定し，堆積層を3層に区分した．背弧側斜面域では多数の正断層が発達し，海底地形にて東北東―西南西走向のリニアメントとして明瞭に認められる．これらの正断層は沖縄トラフの背弧リフティングに伴う伸張力の関与が示唆される．また，背弧海盆にあたる沖縄トラフの堆積層は1面の不整合面を認定し，2層に区分される．石垣海丘群から西方に向かって無数の東北東―西南西走向の正断層が認められる．正断層の発達に伴い凹地状の地形をなし，東北東―西南西方向のリニアメントを形成されている．この凹地状地形を形成する正断層は海底地形にも明瞭に現れているため，新しい構造と考えられる．

本発表では石垣島周辺海域での最新の調査結果を報告し，石垣島北方海域で観測された凹地状構造の成因について議論する．