日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG56] 海洋底地球科学

2019年5月27日(月) 09:00 〜 10:30 A05 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、座長:喜岡 新野田 篤

10:15 〜 10:30

[SCG56-30] 台風24号通過時に駿河湾北部で発生したと考えられる混濁流について ―OBSアレイが捉えた海底異常現象の痕跡―

*中尾 凪佐1馬塲 久紀2佐藤 比呂志3鶴我 佳代子4坂本 泉2西宮 隆仁5篠原 雅尚3阿部 信太郎6 (1.東海大学大学院、2.東海大学海洋学部海洋地球科学、3.東京大学地震研究所、4.東京海洋大学、5.気象庁気象研究所、6.公益財団法人 地震予知総合研究振興会)

キーワード:駿河湾、海底地震計、混濁流

2018年08月から駿河湾北部にて「富士川河口断層帯における重点的な調査観測」による構造探査が開始された.この構造探査の測線(清水興津川沖~伊豆戸田沖)には自己浮上式海底地震計(以下OBS)が18台設置され,またこの測線以外に自然地震観測として4台のOBSが設置された.

2018年09月30日から10月01日にかけて台風24号が駿河湾付近を通過した.台風通過後に様々なOBSの異常が起きた.OBSの異常は以下である.

1.4台のOBSが海岸に漂着した.

2.2台のOBSは設置位置に存在せず,最大約800 m南東側の海底に移動が確認された.

3.1台のOBSはトランスポンダ応答がなく,行方不明になった.

4.2台のOBSはトランスポンダの応答があるが,浮上しない.

このことから本研究では,台風24号によって駿河湾北部の海底で起きた現象により,OBSは異常を起こしたと考えられる.

この現象を特定するためにOBSの記録・海底地形・OBSに付着していた泥・投入位置と回収位置でのスミスマッキンタイヤでの採泥を用い考察を行ったので報告を行なう.

・OBSで得られた波形記録によると,異常は富士川河口延長の駿河湾中央部より広がった.

・富士川河口から測線に掛けて,混濁流が発生しやすい傾斜であった.

・採泥では,設置地点と回収地点で行なったところ,同じ粒径が存在した.

以上のことから,駿河湾北部でOBSにおきた異常の原因は,富士川由来の堆積物が駿河湾に流れ込みOBSを押し流したと推定される.
このことから,駿河湾北部で混濁流が発生した可能性が高い.