10:45 〜 11:00
[SCG57-07] 防災科研S-netデータを活用した日本列島下および太平洋下を含めた三次元地震波速度構造
キーワード:地震波トモグラフィー、防災科研S-net、リフト
1. はじめに
日本海から太平洋にいたる日本列島下の三次元地震波速度構造を推定した。国立研究開発法人防災科学技術研究所は1995年の兵庫県南部地震の後に高感度地震観測網(Hi-net)を、2011年の東北地方太平洋沖地震の後には日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を構築した。海洋研究開発機構(JAMSTEC)により構築された地震・津波観測監視システム(DONET)は2016年4月に防災科研に移管された。我々は、防災科研や気象庁・大学などで運用されている地震観測網のデータにトモグラフィー法を適用した。
2. データ・手法
解析領域は日本列島を覆う北緯20~48度、東経120~148度である。Matsubara et al. (2017)の解析データに、2016年4月から2018年6月までの防災科研S-netやDONETやHi-net等の約1500観測点により捉えられた32952個の地震からの直達P波・S波の到達時刻データを解析に用いた。合計112631個の地震からの6356481 個のP波、及び3534482個のS波到達時刻データを用いて解析した。
3. 結果・議論
防災科研S-netの貢献により、太平洋の下では深さ10~20kmの構造が改善された。重要な特徴のひとつは、東北沖から日高衝突帯の西部に至る、南北走向の中生代のリフト構造と考えられる領域である。最近の平成30年北海道胆振東部地震(M6.7)はP波速度の高速度域である下部地殻から上部マントルに関係したリフトの再活性化と関係している可能性がある。
日本海側では北海道から若狭湾にかけての深さ10~40kmの地震波速度構造が明らかになった。P波速度(Vp)高速度域が深さ10-35kmに存在する。西南日本では日本海の沿岸は中庸な速度構造である。この領域の岩石圏の速度構造は中期第三紀の日本海拡大の影響を強く受けている。近年の圧縮場による再活性化により津波を引き起こす地震断層が発達しつつある。岩石圏の構造は、断層構造の解明に向けた不可欠な情報である。
日本海から太平洋にいたる日本列島下の三次元地震波速度構造を推定した。国立研究開発法人防災科学技術研究所は1995年の兵庫県南部地震の後に高感度地震観測網(Hi-net)を、2011年の東北地方太平洋沖地震の後には日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を構築した。海洋研究開発機構(JAMSTEC)により構築された地震・津波観測監視システム(DONET)は2016年4月に防災科研に移管された。我々は、防災科研や気象庁・大学などで運用されている地震観測網のデータにトモグラフィー法を適用した。
2. データ・手法
解析領域は日本列島を覆う北緯20~48度、東経120~148度である。Matsubara et al. (2017)の解析データに、2016年4月から2018年6月までの防災科研S-netやDONETやHi-net等の約1500観測点により捉えられた32952個の地震からの直達P波・S波の到達時刻データを解析に用いた。合計112631個の地震からの6356481 個のP波、及び3534482個のS波到達時刻データを用いて解析した。
3. 結果・議論
防災科研S-netの貢献により、太平洋の下では深さ10~20kmの構造が改善された。重要な特徴のひとつは、東北沖から日高衝突帯の西部に至る、南北走向の中生代のリフト構造と考えられる領域である。最近の平成30年北海道胆振東部地震(M6.7)はP波速度の高速度域である下部地殻から上部マントルに関係したリフトの再活性化と関係している可能性がある。
日本海側では北海道から若狭湾にかけての深さ10~40kmの地震波速度構造が明らかになった。P波速度(Vp)高速度域が深さ10-35kmに存在する。西南日本では日本海の沿岸は中庸な速度構造である。この領域の岩石圏の速度構造は中期第三紀の日本海拡大の影響を強く受けている。近年の圧縮場による再活性化により津波を引き起こす地震断層が発達しつつある。岩石圏の構造は、断層構造の解明に向けた不可欠な情報である。