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[SCG59-06] リアルタイム震度と観測波形を送受信する緊急地震速報システムの開発
キーワード:緊急地震速報、巨大地震の震源域拡大のリアルタイム推定、波形データの交換、ラスベリーパイの観測点
1. はじめに 2018年3月22日より、緊急地震速報のPLUM電文が発表されるようになった。この電文には、従来の震源とマグニチュードの他に、リアルタイム震度のデータが含まれている。大地震が発生すると、マグニチュードが飽和することから、気象庁は、震度予測にPLUM法を用いることを推奨している。プラム電文には、気象庁の全観測点のデータが含まれているが、PLUM法は、自分が位置するところから半径30km以内の観測点の中で、リアルタイム震度が最大となるデータのみを用いている。堀内・他(2011)は、リアルタイム震度の空間分布を用いて、巨大地震の震源域拡大をリアルタイムで推定する方法を提案しているが、本報告では、PLUM電文に含まれる全観測点のリアルタイム震度のデータを用いて、震源域の拡大をリアルタイムで推定し、パソコンの画面に表示し、音声出力するシステムを開発した。このシステムには、近傍の観測点の波形データを表示させる機能も含まれている。
2. 震源域拡大のリアルタイム推定法 緊急地震速報によるマグニチュードが、7.7以上の地震が発生した場合は、巨大地震が発生した可能性があるとし、堀内・他(2011)の方法を用いて震源域の広がりを推定するようにした。いわゆるマグニチュードの飽和の問題があるため、巨大地震が発生した場合には、司・翠川式による予測震度は、観測震度に比べ小さくなる。堀内・他の方法は、観測震度が予測震度に比べ小さい場合に、司・翠川式に含まれる断層最短距離を、予測震度と観測震度が一致するように観測点毎に求める。次に、震源と、観測点とを結ぶ直線上に、断層最短距離から推定される断層端の位置をプロットし、その空間分布から、震源域の広がりを推定するものである。
3. システムの概要 本システムは、センターサーバ、卜部(2018)他により開発されたラスベリーパイを用いた加速度センサーの観測点、及び、ユーザーのWindows PCから構成されている。センターサーバは、(1)気象庁からのプラム電文の受信、(2)観測点からの波形データの収集、(3)ユーザー情報登録の受付、(4)地震発生時に、ユーザ-のPC、および、ラスベリーパイの観測点に、1)緊急地震速報による震源パラメータ、2)気象庁観測点と、ラスベリーパイの観測点からのリアルタイム震度、3)地震発生時の、各ユーザーへの波形データ、を配信する。ユーザーは、ユーザーが位置する場所の座標等の情報をWeb画面から登録し、パソコン用のソフトウエアをダウンロードすることにより利用できる。ユーザーソフトウエアは、気象庁からの緊急地震速報が配信された場合に、予測震度を画面出力し、音声出力する。巨大地震が発生した場合には、リアルタイム震度の分布から、震源域の広がりを推定する。また、ユーザーが位置するとこところに最も近い観測点が、有感地震を検出した場合は、そこで観測されたリアルタイム震度と波形データが、サーバ経由で送られるので。それを受信し、画面出力する。また、地震発生時の訓練の機能があり、センターサーバで、ユーザーが地震を発生させると、それから計算される震度データがそのユーザーに送信される。パソコンソフトは、送られてきたデータから予測震度を計算する。それがM7.7以上の巨大地震であれば、震源域の拡大を求め、表示するようになっている。ラスベリーパイの中に、パソコンと同様のソフトをダウンロードすると、地震発生時に、音声出力、画面出力が行われるようになる。
4.結果
(1)ユーザーは、ソフトウエアをダウンロードだけで、近傍のラスベリーパイの観測点からの、震度や、リアルタイム波形を取得可能であることから、これらのデータが、高精度の被害予測に活用できると期待される。
(2)過去に発生した、東日本大震災、十勝沖地震等大きい地震17個について、K-NETで観測されたリアルタイム震度のデータを用いて、リアルタイム震度から推定される震源域の広がりを調べた。その結果、ほぼ正確な震源域が推定されることが示され、M8以下の地震で、推定された震源域が、異常に大きくなることはなかった。この結果から、将来の巨大地震発生時に、このシステムにより、ほぼ正確な震源域の広がりがリアルタイムで推定できると思われる。
2. 震源域拡大のリアルタイム推定法 緊急地震速報によるマグニチュードが、7.7以上の地震が発生した場合は、巨大地震が発生した可能性があるとし、堀内・他(2011)の方法を用いて震源域の広がりを推定するようにした。いわゆるマグニチュードの飽和の問題があるため、巨大地震が発生した場合には、司・翠川式による予測震度は、観測震度に比べ小さくなる。堀内・他の方法は、観測震度が予測震度に比べ小さい場合に、司・翠川式に含まれる断層最短距離を、予測震度と観測震度が一致するように観測点毎に求める。次に、震源と、観測点とを結ぶ直線上に、断層最短距離から推定される断層端の位置をプロットし、その空間分布から、震源域の広がりを推定するものである。
3. システムの概要 本システムは、センターサーバ、卜部(2018)他により開発されたラスベリーパイを用いた加速度センサーの観測点、及び、ユーザーのWindows PCから構成されている。センターサーバは、(1)気象庁からのプラム電文の受信、(2)観測点からの波形データの収集、(3)ユーザー情報登録の受付、(4)地震発生時に、ユーザ-のPC、および、ラスベリーパイの観測点に、1)緊急地震速報による震源パラメータ、2)気象庁観測点と、ラスベリーパイの観測点からのリアルタイム震度、3)地震発生時の、各ユーザーへの波形データ、を配信する。ユーザーは、ユーザーが位置する場所の座標等の情報をWeb画面から登録し、パソコン用のソフトウエアをダウンロードすることにより利用できる。ユーザーソフトウエアは、気象庁からの緊急地震速報が配信された場合に、予測震度を画面出力し、音声出力する。巨大地震が発生した場合には、リアルタイム震度の分布から、震源域の広がりを推定する。また、ユーザーが位置するとこところに最も近い観測点が、有感地震を検出した場合は、そこで観測されたリアルタイム震度と波形データが、サーバ経由で送られるので。それを受信し、画面出力する。また、地震発生時の訓練の機能があり、センターサーバで、ユーザーが地震を発生させると、それから計算される震度データがそのユーザーに送信される。パソコンソフトは、送られてきたデータから予測震度を計算する。それがM7.7以上の巨大地震であれば、震源域の拡大を求め、表示するようになっている。ラスベリーパイの中に、パソコンと同様のソフトをダウンロードすると、地震発生時に、音声出力、画面出力が行われるようになる。
4.結果
(1)ユーザーは、ソフトウエアをダウンロードだけで、近傍のラスベリーパイの観測点からの、震度や、リアルタイム波形を取得可能であることから、これらのデータが、高精度の被害予測に活用できると期待される。
(2)過去に発生した、東日本大震災、十勝沖地震等大きい地震17個について、K-NETで観測されたリアルタイム震度のデータを用いて、リアルタイム震度から推定される震源域の広がりを調べた。その結果、ほぼ正確な震源域が推定されることが示され、M8以下の地震で、推定された震源域が、異常に大きくなることはなかった。この結果から、将来の巨大地震発生時に、このシステムにより、ほぼ正確な震源域の広がりがリアルタイムで推定できると思われる。