日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG59] 地震動・地殻変動・津波データの即時把握・即時解析・即時予測

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 A08 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:小木曽 仁(気象庁気象研究所)、近貞 直孝(防災科学技術研究所)、川元 智司(国土交通省国土地理院)、干場 充之(気象研究所)、座長:近貞 直孝(防災科学技術研究所)、小木曽 仁(気象研究所)

16:00 〜 16:15

[SCG59-09] 実運用に向けた電子基準点リアルタイム解析システムREGARDの改良

*大橋 和幸1阿部 聡1撹上 泰亮1川元 智司1宗包 浩志1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:REGARD即時推定、全球測位衛星システム、精密単独測位

リアルタイムGNSS測位により得られる変位は,長周期成分に対しては飽和する恐れがなく,地震計では精度が落ちる巨大地震による長周期成分も正確に捉えることが可能である.国土地理院においても東北大学と共同で,GNSSを用いた即時的震源断層モデル推定システム(REGARDシステム)を開発し,平成28年度から運用を開始した.運用開始後はすでに平成28年熊本地震を経験することとなり,VR96%という高い信頼性の矩形断層モデルを推定することに成功している.このようにREGARDシステムは巨大地震時に迅速に地殻変動,有限断層モデル,地震規模を提供するものとしてますますその重要性を増しているところである.そして,今後は,安定した運用のために,異なる測位手法の導入による頑健性向上を目的にシステムの拡充を行う.

REGARDは相対測位により座標を計算しているが,観測データの差を計算するため,1点が欠測すると解が得られない.特に,固定点が欠測すると,影響は全点にも及ぶ.そこで,精密単独測位(PPP)の導入を試みた.リアルタイムでPPP解析を行うには,補正情報が不可欠である.今回導入したシステムでは,世界中の100点程度の観測点からリアルタイムデータを収集し,暦や補正情報をMADOCA(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)によって推定し,電子基準点のリアルタイム観測データと併せてPPP解析を実施している.

リアルタイムPPP解析の精度評価を行った結果,相対測位であるREGARDよりは劣るが,PPP解析結果に対して他点との差を計算する(PPP-differential)ことで精度が向上することが確認された.REGARDと比較しても遜色ないレベルで,REGARDの冗長性・頑健性の向上に役立つと期待される.