日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM19] 電気伝導度・地殻活動電磁気学

2019年5月27日(月) 09:00 〜 10:30 304 (3F)

コンビーナ:相澤 広記(九州大学大学院理学研究院附属・地震火山観測研究センター)、松野 哲男(神戸大学海洋底探査センター)、座長:松野 哲男相澤 広記

09:15 〜 09:30

[SEM19-02] ベレア砂岩と多孔質ガラスの水不飽和状態における表面伝導の評価

*梅澤 良介1桂 誠1中嶋 悟1 (1.大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)

キーワード:水飽和率、電気伝導度、イオン濃度、デバイ長、表面伝導

絶縁性鉱物から成る岩石の電気伝導は、間隙のサイズや形状、間隙水の飽和率や分布状態などに依存することが知られており、間隙水(バルク水)の伝導と鉱物表面水の伝導からなるとされている。表面伝導は、イオンが吸着するシュテルン層と濃度勾配が生じる拡散層からなる電気二重層における伝導のことを言い、その厚さはイオン濃度に依存する特徴的な長さ(デバイ長)で決まる。表面伝導は、間隙内に空気などが混在する不飽和状態や間隙径の小さな岩石において重要と考えられるが、間隙径の小さな岩石では間隙水の溶存イオンの定量が難しいため、定量的な記述が困難である。そこで、砂岩と多孔質ガラスの電気伝導度について、既知の溶存イオン濃度の水溶液を用いて、水飽和率を変化させながら測定を行った。
本研究では、主に石英からなるベレア砂岩(支配的な間隙径: 約40 μm)と、均一な間隙径を持つシラス多孔質ガラス(SPGテクノ; 間隙径1.0, 0.5, 0.2 μm)を用いた。これらの試料の間隙を純水、NaCl水溶液(0.001, 0.01, 0.1 mol L-1)で飽和させ、自然乾燥により水飽和率を減少させ周波数0.1 Hz – 1 MHzにおいて電気伝導測定を行った。
これらベレア砂岩とシラス多孔質ガラスの不飽和における表面伝導について理解するために、表面錯体モデルを用いた電気伝導モデルに基づき比表面伝導度を求め、水膜厚さやデバイ長との関係などについて考察を行った。