15:30 〜 15:45
[SGD01-07] 絶対重力の長期変動から読み解く桜島の火山活動(2009年~2018年)
キーワード:絶対重力、桜島火山
[1] はじめに
われわれは桜島火山において、2008年4月から2019年2月現在まで10年以上の長期にわたって絶対重力観測を行ってきた。この間に、火山活動は2009年に本格化し、およそ2015年までの7年間は、毎年の爆発回数が500~1000回にも及んだ。ことに2015年8月15日にはダイク貫入イベントが発生し、多数の火山性地震および10cmを超える地殻変動が観測され、噴火警戒レベルが4まで上げられるなど緊迫した事態も生じた。しかし、このイベント直後に爆発・噴火活動はかえって劇的に低下するという予想外の展開となった。本講演では、上述の火山活動が、長期的な重力変動データから、どのように解釈されるかについて議論する。
[2] 重力変動の特徴とその解釈
重力観測データには、降雨等に伴う陸水変動による重力擾乱や、不圧地下水の潮汐等、火山活動とは独立な要因で変化する成分が含まれている。これらの擾乱を除去する手法については、Kazama and Okubo (2009)や、Okubo et al (2014)で開発してきた。これらの擾乱を取り除いた後の重力シグナルを調べたところ、(1)~(3)に示す火山活動期ごとに、それぞれ特徴的な変動を示していることがわかった。
(1) ブルカノ式噴火期(2009年~2015年7月)
重力は±10microgalの変動幅におさまり、噴火活動が低調な時期には重力増加が、活発にな時期には重力減少が見られる。深さ5㎞程度のマグマだまりへのマグマ供給と、噴火による物質放出とが動的平衡状態にあると考えられる。
(2) ダイク貫入イベント(2015年8月前後)
6 microgalの重力減少が、10 microradian 程度の地殻変動と同期して(タイムラグなし)で生じた。両者の変動のタイムスケールはともに、12-18時間前後で完結している。
(3) 爆発活動が急激に静穏化した時期(2015年後半~)
重力は概ね10microgal/yrで単調に増加し、マグマ溜りの収縮を示唆する。
上記のさまざまな特徴は、火道の「開口 ・閉塞」状態のスイッチングを反映している。すなわち(1)では、火道が開口状態にあって、周囲に生じる弾性変形が小さく、重力変動の大部分が火道内のマグマ頭位変化=線質量の長さ変化ととらえることができる。その後、火道が火道が閉塞させられ、地殻の弾性変形が生じた(2)の段階を経て、現在はマグマ溜りの収縮過程にある可能性がある。
われわれは桜島火山において、2008年4月から2019年2月現在まで10年以上の長期にわたって絶対重力観測を行ってきた。この間に、火山活動は2009年に本格化し、およそ2015年までの7年間は、毎年の爆発回数が500~1000回にも及んだ。ことに2015年8月15日にはダイク貫入イベントが発生し、多数の火山性地震および10cmを超える地殻変動が観測され、噴火警戒レベルが4まで上げられるなど緊迫した事態も生じた。しかし、このイベント直後に爆発・噴火活動はかえって劇的に低下するという予想外の展開となった。本講演では、上述の火山活動が、長期的な重力変動データから、どのように解釈されるかについて議論する。
[2] 重力変動の特徴とその解釈
重力観測データには、降雨等に伴う陸水変動による重力擾乱や、不圧地下水の潮汐等、火山活動とは独立な要因で変化する成分が含まれている。これらの擾乱を除去する手法については、Kazama and Okubo (2009)や、Okubo et al (2014)で開発してきた。これらの擾乱を取り除いた後の重力シグナルを調べたところ、(1)~(3)に示す火山活動期ごとに、それぞれ特徴的な変動を示していることがわかった。
(1) ブルカノ式噴火期(2009年~2015年7月)
重力は±10microgalの変動幅におさまり、噴火活動が低調な時期には重力増加が、活発にな時期には重力減少が見られる。深さ5㎞程度のマグマだまりへのマグマ供給と、噴火による物質放出とが動的平衡状態にあると考えられる。
(2) ダイク貫入イベント(2015年8月前後)
6 microgalの重力減少が、10 microradian 程度の地殻変動と同期して(タイムラグなし)で生じた。両者の変動のタイムスケールはともに、12-18時間前後で完結している。
(3) 爆発活動が急激に静穏化した時期(2015年後半~)
重力は概ね10microgal/yrで単調に増加し、マグマ溜りの収縮を示唆する。
上記のさまざまな特徴は、火道の「開口 ・閉塞」状態のスイッチングを反映している。すなわち(1)では、火道が開口状態にあって、周囲に生じる弾性変形が小さく、重力変動の大部分が火道内のマグマ頭位変化=線質量の長さ変化ととらえることができる。その後、火道が火道が閉塞させられ、地殻の弾性変形が生じた(2)の段階を経て、現在はマグマ溜りの収縮過程にある可能性がある。