[SGD01-P04] 大分県九重火山北西部における重力・空中重力偏差データから推定される密度構造
キーワード:重力異常、重力偏差、九重火山
大分県九重火山北西部に位置する涌蓋山周辺には噴気地域、温泉地域、日本最大の地熱発電所である八丁原地熱発電所など火山に起因する地熱地域が数多く見られる。個々の火山や地熱発電所周辺においてはこれらの地熱徴候や地下での地熱系の発達を理解するための様々な調査が行われているが、周辺の噴気地域や温泉まで含めた広域の詳細な地下構造の理解は進んでいない。近年独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は「地熱資源ポテンシャル調査のための空中物理探査」を平成24年度より空中重力偏差法探査,時間領域空中電磁探査および空中磁気探査を実施してきた(JOGMEC, 2014)。本地域の対象となる九重火山地域では平成24年にくじゅう地域の調査が実施され、その後平成29年には涌蓋山北部および西部に位置する小国地域で調査が実施された。
本研究では,大分県くじゅう地域を対象として行われた空中重力偏差法探査データと地上重力測定データを用いて地下の3次元密度構造を推定し,得られた密度構造と過去に行われた地熱・火山調査結果との比較を行った。本研究で用いた地表重力探査データは、九州大学、日本重力データベース(AIST, 2013)、西南日本重力データベース(Shichi and Yamamoto, 2001)、金沢大学データベース(本多ほか, 2012)から1594点の測定データを使用して重力異常図を作成した。ブーゲー補正や地形補正で用いる補正密度については、CVUR法(Komazawa, 1995)を用いて推定を行い2310kg/m3とした。
空中重力偏差法探査では、CGG Aviation社HeliFALCONTM重力偏差計をヘリコプターに搭載し,測線間隔250m,対地高度150mで地形に沿って飛行して調査を行った。HeliFALCONTM重力偏差計で計測されたデータは,飛行中の機体の加速度変化,タイライン補正,マイクロレベリング補正,地形補正などの各種補正が行われ重力偏差の水平曲率成分(GNE, GUV)が得られる。地形補正で用いる地形データは測線沿いについてはヘリコプターに搭載されたレーザースキャナーとGPSデータから20mメッシュの地形データを作成し,測線間や調査範囲から15kmまでの領域についてはShuttle Rader Topography Mission(SRTM)v2の標高データを用いた。重力偏差データは,地形補正無し,補正密度2300kg/m3,補正密度2670kg/m3の3種類が提供されているが,本研究では地上測定重力データから推定された補正密度に一番近い2300kg/m3のデータを用いた。得られた密度分布では、猪牟田カルデラ内や涌蓋山北西山麓にはカルデラ構造を充填していると考えられる岩砕なだれ堆積物の低密度域(2100〜2200 kg/m3)が見られた。一方、高密度域(2400〜2550 kg/m3)は更新世中期の涌蓋火山や更新世後期の猟師山、合頭山の南東部および九重火山などの直下に見られた。また、涌蓋山の西側にもカルデラのような陥没構造が検出され、涌蓋山北西山麓に位置する温泉のうち、山川温泉、麻生釣温泉、奴留湯、杖立温泉はこの構造の縁に分布していることが明らかになった。
本研究では,大分県くじゅう地域を対象として行われた空中重力偏差法探査データと地上重力測定データを用いて地下の3次元密度構造を推定し,得られた密度構造と過去に行われた地熱・火山調査結果との比較を行った。本研究で用いた地表重力探査データは、九州大学、日本重力データベース(AIST, 2013)、西南日本重力データベース(Shichi and Yamamoto, 2001)、金沢大学データベース(本多ほか, 2012)から1594点の測定データを使用して重力異常図を作成した。ブーゲー補正や地形補正で用いる補正密度については、CVUR法(Komazawa, 1995)を用いて推定を行い2310kg/m3とした。
空中重力偏差法探査では、CGG Aviation社HeliFALCONTM重力偏差計をヘリコプターに搭載し,測線間隔250m,対地高度150mで地形に沿って飛行して調査を行った。HeliFALCONTM重力偏差計で計測されたデータは,飛行中の機体の加速度変化,タイライン補正,マイクロレベリング補正,地形補正などの各種補正が行われ重力偏差の水平曲率成分(GNE, GUV)が得られる。地形補正で用いる地形データは測線沿いについてはヘリコプターに搭載されたレーザースキャナーとGPSデータから20mメッシュの地形データを作成し,測線間や調査範囲から15kmまでの領域についてはShuttle Rader Topography Mission(SRTM)v2の標高データを用いた。重力偏差データは,地形補正無し,補正密度2300kg/m3,補正密度2670kg/m3の3種類が提供されているが,本研究では地上測定重力データから推定された補正密度に一番近い2300kg/m3のデータを用いた。得られた密度分布では、猪牟田カルデラ内や涌蓋山北西山麓にはカルデラ構造を充填していると考えられる岩砕なだれ堆積物の低密度域(2100〜2200 kg/m3)が見られた。一方、高密度域(2400〜2550 kg/m3)は更新世中期の涌蓋火山や更新世後期の猟師山、合頭山の南東部および九重火山などの直下に見られた。また、涌蓋山の西側にもカルデラのような陥没構造が検出され、涌蓋山北西山麓に位置する温泉のうち、山川温泉、麻生釣温泉、奴留湯、杖立温泉はこの構造の縁に分布していることが明らかになった。