日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL27] 地球年代学・同位体地球科学

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)

[SGL27-P04] 白神岳複合岩体のジルコンのU-Pb年代とテクトニクス

*佐藤 大紀1梅田 浩司1 (1.弘前大学)

キーワード:白神岳複合岩体、ジルコン、U-Pb年代

白神岳複合花崗岩質岩体(以下,白神岳複合岩体)は青森県の南西部に位置し,岩相から東部,中央部,西部岩体の3つのグループに区分できる(藤本,2010).東部岩体は弱片状粗粒〜中粒普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩, 中央部岩体は塊状粗粒〜中流黒雲母花崗岩, 西部岩体は片状粗粒〜中流普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩と優白質の同様の花崗閃緑岩からなり,マイロナイトを伴う(藤本・山本,2010).その放射年代は東部岩体で97.8±2.2Ma(角閃石K-Ar年代;藤本, 2010), 110.1±6.0Ma(Rb-Sr全岩アイソクロン年代;藤本・山本;2010),中央部岩体は42.8Ma(黒雲母K-Ar年代;通商産業省,1982)と65.6±1.7Ma(藤本,2000),西部岩体は95Ma(黒雲母K-Ar年代;河野,植田;1966)と89.4±3.4Ma(黒雲母K-Ar;通商産業省,1982),92.2±2.1Ma(角閃石K-Ar年代;藤本,2000)が報告されている. さらに,末岡(2016)により,白神複合岩体のアパタイトの(U-Th)/He年代が4.2±2Maと出されている.また,西部にはマイロナイト帯が分布している.

本研究では白神岳複合岩体での試料採取,岩石記載,蛍光X線分析装置による主成分・微量成分の分析,電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)による分析を行うとともに,新たにジルコンのU-Pb年代測定を行うことで岩体の固結年代を明らかにすることを目標とした.また,これまでに得られた閉鎖温度の異なる放射年代を用いて白神岳複合岩体の冷却史の解明を目指した.

上記から採取した花崗岩3試料に対してLA-ICP-MSによるU-Pbジルコン年代測定を行い,得られた年代値は107.7±1.4Maであった.これは白神複合岩体の固結年代を示すと考えられる.既存の放射年代データと今回得られたU-Pb年代から白神岳複合岩体の冷却曲線を出した.その結果,白神複合岩体は貫入・固結開始後90Ma付近まで急冷したが,それ以降は徐々に冷却されるという傾向を示した.