日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT21] 核-マントルの相互作用と共進化

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、飯塚 毅(東京大学)、太田 健二(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、土屋 卓久(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

[SIT21-P23] 内核の不均一成長に伴う地球外核中の流れと軽成分分布

*竹広 真一1佐々木 洋平2 (1.京都大学数理解析研究所、2.京都大学大学院理学研究科数学教室)

キーワード:異方性、内核、核マントル境界

近年の地震波解析によると, 内核内の地震波速度の東西不均一な分布が明らかにされ, ICB での相変化が水平一様に生じてはいないという 議論が提唱されるようになった. この観測結果から単純に考えると, 固化半球側の ICB 直上では温度が低く軽成分濃度が高くなリ, 溶融半球側で逆に温度が高く軽成分濃度が低くなることが予想される. すなわち, 内核内部の東西不均一分布と ICB 直上の外核内での 熱力学的諸量との相関がみられそうである, しかしながら, 最新の地震波の解析では ICB 直上での地震波速度異常分布は内核内の東西非対称構造とは 一致していないことが報告されている.

内核の不均一成長の説明を試みとして外的要因と内的要因の メカニズムがこれまでに提案されてきている. 外的要因説は, 核マントル境界 (CMB) での水平不均一な熱的構造が 外核内に水平熱対流を引き起こし, ICB に水平不均一な温度分布をもたらすと考えるものである. しかしながら, この研究では温度と軽成分をまとめた共密度(co-density)を 用いており, ICB 直上での軽成分分布がどのようになるかが明らかでない. 一方, 内的要因説は, 相変化境界を伴う内核の自発的な不安定性により 横ずれ流れが内核内部に生じるものである. しかしながら, この研究では外核の軽成分がすぐに混合され一様であることを 仮定していおり, ICB 直上での軽成分分布がどのようになるかが明らかでない.

そこで本研究では, 温度と軽成分濃度を独立変数とする回転球殻内の熱組成対流 モデルを用いて, 外的要因および内的要因のそれぞれのストーリーに 沿った熱組成対流の数値実験を行う. 得られる ICB 付近での軽成分濃度分布と 地震波異常分布と比較することにより, もっともらしい外核内の熱組成対流の レジームについて議論する.