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[SMP32-17] X線CTを用いた断層岩の3次元構造解析ー野島断層を例としてー
キーワード:野島断層、断層岩、構造解析、CTスキャン
活断層せん断帯における断層岩の構造には、断層運動のメカニズム解明のために重要な情報が残されている場合がある(例えばLin et al, 2013; Lin and Nishiwaki, 2019)。これは、断層岩の巨視的-微視的な変形組織構造が、断層発達過程における一連の変形過程によって、ある空間的広がりを持って形成されるためである(Lin, 2008)。従って断層せん断帯の巨視的-微視的組織構造の空間変化を理解するためには、断層岩構造の3次元(3D)解析が重要であるといえる。 本研究で我々は、1995年神戸地震において活動した野島断層帯において実施された科学掘削プロジェクト“Drilling into Fault Damage Zone (DFDZ)”で得られた断層ガウジを含む断層岩試料に対して、X線CT法(XCT)による3次元構造解析を実施した。XCTは、試料の3次元イメージを密度と化学組成で決まるCT値によって非破壊で得ることができる。掘削調査および3次元構造解析によって、野島断層に沿って発達する断層破砕帯は幅約60 mであり、厚さ約15~30 cmの断層ガウジ帯を含むことが明らかとなった(Nishiwaki et al., 2018; Lin and Nishiwaki, 2019)。断層ガウジ帯は、厚さ1-2 mmから約10 cmの色調の異なる複数のガウジ層からなり、各ガウジ層中には層と平行もしくはやや斜交して面構造が発達する。XCTによる3次元構造解析では以下のことが明らかとなった:1) 主断層面とした断層面は二つの断層ガウジ層の間に明瞭に認められ、周囲の断層ガウジ層および角礫をせん断する。2) 各断層ガウジ中にはX-Z面において、複合面構造が発達しており、その面構造は右横ずれのせん断センスを示す。このせん断センスは地形地質学的痕跡から推定されるせん断センスと調和的である。3) 細粒破砕物質が周囲の断層岩中に注入し、複雑な空間分布を示すネットワーク構造を形成する。以上の結果は、XCTは従来の解析手法と組み合わせることによって、断層岩の3次元組織構造解析のために有用なツールになることを示している。
引用文献
1) Aiming Lin, 2008. Fossil Earthquakes: The Formation and Preservation of Pseudotachylytes. Springer, Berlin, 348p (ISBN 978-3-540-74235-7).
2) Lin, A., Yamashita, K., Tanaka, M., 2013. J. Struct. Geol., 48, 3-13. http://dx.doi.org/10.1016/j.jsg.2013.01.005.
3) Lin, A., Nishiwaki, T., 2019. Geophys. Res. Lett., doi: 10.1029/2019GL081927. https://doi.org/10.1029/ 2019GL081927.
4) Nishiwaki, T., Lin, A., Lin, W., 2018. Geophys. Res. Lett., 45, 12814-12820, https://doi.org/10.1029/2018GL079317.
引用文献
1) Aiming Lin, 2008. Fossil Earthquakes: The Formation and Preservation of Pseudotachylytes. Springer, Berlin, 348p (ISBN 978-3-540-74235-7).
2) Lin, A., Yamashita, K., Tanaka, M., 2013. J. Struct. Geol., 48, 3-13. http://dx.doi.org/10.1016/j.jsg.2013.01.005.
3) Lin, A., Nishiwaki, T., 2019. Geophys. Res. Lett., doi: 10.1029/2019GL081927. https://doi.org/10.1029/ 2019GL081927.
4) Nishiwaki, T., Lin, A., Lin, W., 2018. Geophys. Res. Lett., 45, 12814-12820, https://doi.org/10.1029/2018GL079317.