[SMP33-P04] 小笠原諸島父島における沸石の共生関係について
キーワード:沸石、無人岩、熱水活動、共生関係
小笠原諸島は東京から南に1000km離れた太平洋上に位置する聟島列島、父島列島、母島列島からなる群島である。母島列島を除く小笠原諸島ではボニナイトと呼ばれるSiO2>55% MgO>8% TiO2 <0.5%という特異な組成を持つ火山岩の産地としても知られている。また、父島では、溶岩の冷却に伴う熱水循環などの要因により様々な種類の沸石が、同一の火山岩の空隙中に形成されている。
本研究では沸石の産状を調べ、その共生状態を見ることによって沸石産出地域ごとの沸石形成プロセスを検討する。
父島宮之浜海岸で産出した晶洞にはErioniteの二段階の成長が確認された。晶洞中のErioniteの各所において化学組成分析を行ったところ、内側に形成されたErioniteでは陽イオンとしてNa+を多く含むが、外側に成長したErioniteではNa+は減少し、K+の増加が見られた。また、Erioniteの二段階成長の境界付近ではMg2+が検出された。
また、父島初寝浦海岸で産出した晶洞についても、沸石の二段階成長とみられる構造が観察された。分析を行ったところ内側からPhillipsite, Stillbiteの2種類の沸石が確認された。
これらの沸石に対し、EDSによる化学組成分析を行ったところ、晶洞の内側のPhillipsiteでは陽イオンのNa+の値が大きく、結晶の外側であるStillbiteではNa+の減少及び、K+の増加が見られた。さらにMg2+値については沸石種が異なる境界付近で高い値が検出された。
これらのことから、宮之浜海岸、初寝浦海岸の晶洞における沸石の二段階成長について一段階目の成長の後に新たに熱水活動があり、周囲の母岩からMg2+、K+が晶洞内に供給されたと考えられる。その後、Mg2+を消費する粘土化などの現象の後に、Na+, K+型の沸石が成長したと推測できる。
また、今回、島の北部と東部という離れた産地にもかかわらず、晶洞内で沸石の二段階成長が確認され、いずれもNa+、Mg2+、K+の増減の挙動が似ていることから、広い範囲で類似の現象が発生したと思われる。このことから、父島の他の沸石共生試料についても同様の手法で検討を行った。
本研究では沸石の産状を調べ、その共生状態を見ることによって沸石産出地域ごとの沸石形成プロセスを検討する。
父島宮之浜海岸で産出した晶洞にはErioniteの二段階の成長が確認された。晶洞中のErioniteの各所において化学組成分析を行ったところ、内側に形成されたErioniteでは陽イオンとしてNa+を多く含むが、外側に成長したErioniteではNa+は減少し、K+の増加が見られた。また、Erioniteの二段階成長の境界付近ではMg2+が検出された。
また、父島初寝浦海岸で産出した晶洞についても、沸石の二段階成長とみられる構造が観察された。分析を行ったところ内側からPhillipsite, Stillbiteの2種類の沸石が確認された。
これらの沸石に対し、EDSによる化学組成分析を行ったところ、晶洞の内側のPhillipsiteでは陽イオンのNa+の値が大きく、結晶の外側であるStillbiteではNa+の減少及び、K+の増加が見られた。さらにMg2+値については沸石種が異なる境界付近で高い値が検出された。
これらのことから、宮之浜海岸、初寝浦海岸の晶洞における沸石の二段階成長について一段階目の成長の後に新たに熱水活動があり、周囲の母岩からMg2+、K+が晶洞内に供給されたと考えられる。その後、Mg2+を消費する粘土化などの現象の後に、Na+, K+型の沸石が成長したと推測できる。
また、今回、島の北部と東部という離れた産地にもかかわらず、晶洞内で沸石の二段階成長が確認され、いずれもNa+、Mg2+、K+の増減の挙動が似ていることから、広い範囲で類似の現象が発生したと思われる。このことから、父島の他の沸石共生試料についても同様の手法で検討を行った。