日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS09] 地震予知・予測

2019年5月29日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:大林 政行(独立行政法人海洋研究開発機構 地球深部ダイナミクス研究分野)、馬場 俊孝(徳島大学大学院産業理工学研究部)

[SSS09-P01] 地震前兆の検出法

*高橋 耕三

キーワード:地震予知、地震前兆電界、噴火予知、噴火前兆、重力波

はじめに:地震の前には、種々の地震前兆が観測されている。それらの殆どは、地震前の震源域での微少亀裂の発生に起因するものと推定できる。それ故、震源域での微少亀裂の発生を検出できれば、直接・間接に地震の予知につなげることが可能になる。 3.微小亀裂の検出
 震源域を中心として電極を4個所以上に設置して、電位・抵抗を測定すれば(海底では困難)微小亀裂の発生を検知できるであろう。しかし、高名な地震学者が予言しているように、地震予知は「地震の、場所・規模・日時が分かっているときしかできない」から、電位・抵抗の測定場所を決めることができない。我が国の噴火の場合は、その場所を推定し、Magma の場所・規模・動きを集中的に観測して噴火を予知することが、費用の額を無視できる場合は可能であろうが、地震の場合は費用の額が無視できても、場所の推定が困難なため、そのようには行かないであろう。
 若し、震源域から、重力波(Gravitational Wave:GI)が出ていれば、検出の可能性は出てくるが、その可能性は全く無いことを以下定量的に示す。
 最初に、検出できるGIの大きさを知るため、Black Hole(BHP)の合体の際、観測されたGIの強度を計算する。 
 本節で使用する記号、常数の近似値・推定値は下記のとおりである。
以下 *:乗
光速c=3×(10*5) km/sec
1光年=9.46×(10*12) km
太陽の質量:2×(10*30) kg 
 GW150914の合体の際の数値
BHPの小さい方の質量 M:29太陽質量
BHP迄の距離 r:13億光年
 BHP 間の衝突とは、相手の Event Horizon 内に入ることだから合体のことになる。合体によりそれらの運動エネルギーはGIのエネルギーに変換される。
BHP間の相対速度はcを超えることは出来ないから、一方の速度は約c/ 2 以下となる。
GIは重力場の急変により発生するから、運動量(MV)の急変によっても発生する。
 GIは、波であるから、観測点までの距離rの二乗に反比例する。よって
 GW150914のGIの地表で観測される値GWbhは、次式の値に比例する。 GWbh= 29 ×2×(10*30)×1.5×(10*5)÷{(13×9.46×(10*12 )}*2  = 5.75 ×10*8) (kg/sec・km) Mag 7の地震の際のGIを計算する。
この際、下記の値を用いる。
地震のエネルギーEは次式による。
  log E=4.8 + 1.5 M
= 4.8 + 10.5 = 15.3
E = 10*15.3 J=2×10*15 J
=2×10*9 kg (km/sec)*2
地震で動く質量mは次式から求める。
  E=0.5×m ×v*2
ここにvは地震波の速度で、地表近くの値5.45 km/sec を用いると
mv =2 E/v
= 4×10*9/5.45 kg・㎞/sec
=0.734×10*9 kg・㎞/sec

BHP 間の衝突では、相対速度がc/2に近い値になったから、地震の際もc/2に近い値になった部分だけがGIの発生に寄与すると考えられる。ところで、物理現象では、多くの場合Gauss 分布するため、S波の速度分布からσと平均値を求め、地震動のうちのc/2以上となる割合を求めると、限りなく零に近づくため、地震動に伴うGIは発生しないと推定される。そこで、どのような場合にGIが発生するかを知るために、月と同じ質量の隕石がc/2以上の速さで地表を直撃する場合のGIを計算する。なお大きな隕石などで月の軌道が乱されても月が地球に衝突することはない。月が地球に近づけば潮汐力のため月は砕け、地球に落下する破片は大気中で燃え尽きてしまう。また、c/2以上の速さで到来する物体は、検知する前に到達してしまうため、Radarでは検知できない。
月と同じ質量のMeteoriteの衝突の際のGIをGWmeと書くことにする。観測点から震源域までの距離をrとすると
GWmeは次式に比例することになる。

GWme=m v/r*2  kg/km・sec m=7.343×10*22㎏ r=10000 km の場合 GWme=1.10 ×10*21  kg/㎞・sec よって GWme/GWbh=1.10×10*21/5.75×10*8
=1.91×10*11
上記の値は、月の質量の1.91×10*11分の一の質量:3.84×10*8 tonのMeteorが地球に衝突した場合GIが発生することを示している。これまでに知らている最大のMeteorは、1万ton程度であるから、1億ton以上のMeteorが衝突した時には、地球に生物は存在していない。 終わりに 
 噴火に関しては、噴火が想定される場所に観測装置を重点的に配置して、Magmaの位置・規模・変化を推定して予知を試みることが可能であり、地震予知も、前兆の微小亀裂の発生場所を検出できれば、可能性があるが、「地震の場所・規模・日時が分かっている時しか予知出来ない」と言われており、現在もその通りで、地震発生の場所が推定できない限り、前兆の微小亀裂の場所の検出が困難で、予知に繋がる観測を始められない。
参考文献
高橋耕三 地震直前に観測される電磁界の発生メカニズム JpGU 2011 S-SS024-13