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[SSS13-27] 全国地震動予測地図の地震活動モデルで表現される地震発生数
キーワード:全国地震動予測地図、地震活動モデル、地震カタログ、東北地方太平洋沖地震、検証
地震調査研究推進本部地震調査委員会により公表されている「全国地震動予測地図」では、地震を複数に分類した上で、各々について地震発生の確率モデルが作成されている。確率論的地震動予測地図の妥当性検証の1つとして、地震活動モデルで表現されている規模別地震発生頻度を近年の地震カタログデータとの比較がある(例えば、奥村・藤原,2010、日本地震学会秋季大会)。本稿では、全国地震動予測地図における地震発生数と地震カタログデータの比較結果を示す。
確率論的地震動予測地図2018年版の地震活動モデルで表現されている地震数として、30年間での期待値を規模ごとに算定し累積地震数で表す。手順は以下の通り。
・非定常な地震活動モデルが採用されている地震については、基準日から30年間の地震発生確率を地震数の期待値とする。
・南海トラフの地震(M8~9クラス)、相模トラフ沿いのM8クラスの地震、千島海溝沿いの超巨大地震(17世紀型)、十勝沖および根室沖のプレート間巨大地震については、30年間の全体の地震発生確率に各発生パターンの重みを乗じたものをそれぞれ30年間の地震数の期待値とする。
・ポアソン過程が採用されている地震については、地震発生頻度に基づく30年間の地震数を用いる。
・モーメントマグニチュード(Mw)でモデル化されている地震の規模について、主要活断層帯で発生する地震はM = (Mw-1.08) / 0.78、それ以外の地震は M = Mwにより気象庁マグニチュードMに変換する。
ここでは、地震動予測地図における「平均ケース」と「最大ケース」に加えて、「長期間平均ハザードの計3種類の地震活動モデルによる累積地震数のデータを作成した。
比較対象とする地震カタログについては、宇津(1982)による1885~1925年のM 6.0以上の地震と1926~2010年のM 5.0以上の気象庁震源データを組み合わせたものとする。このとき、地震動予測地図と同じルールに従って余震を除去している。
陸側プレートの浅い地震については、平均ケースの場合M7.0未満、最大ケースの場合M7.7未満においてモデルとカタログの地震数は整合的であるが、それより大きな規模ではモデルの地震数が小さい傾向が見られる。フィリピン海プレートの地震については、M8.0以下においてモデルとカタログの地震数が整合的であるものの、それより大きな規模ではモデルの地震数が極端に大きくなっている。これは南海トラフの地震(M8~9クラス)において時間予測モデルに基づいた大きな発生確率がモデル化されていることが影響しており、「長期間平均ハザード」のモデルではM8.0以上の地震数が小さくなる。ただし、カタログにおける最大規模の地震は1946年の南海地震(M8.0)であり、それより大きな規模については直接カタログの地震数との比較はできない。太平洋プレートの地震については、M7.0未満においてモデルとカタログの地震数が整合的であるが、それより大きな規模ではモデルの地震数がやや大きい。M7.8以上については、千島海溝沿いの地震について新たな長期評価に基づいてモデルが変更となった結果、地震数が増えていることも影響している。
一方、地震カタログの期間を平成23年東北地方太平洋沖地震後の2015年まで拡張した場合、フィリピン海プレートおよび太平洋プレートの地震に関しては、活発な余震活動や誘発地震の影響が含まれることによりM7.0未満の規模の小さな地震数はモデルの方が小さくなる。東北地方太平洋沖地震後のカタログについては余震をどのように扱うかによって大きく地震数が変わる。現状では地震ハザード評価のためのモデル化に向けた検討を行っている最中であるが、本検討に基づいた地震の総数を押さえることも重要な視点となるであろう。
確率論的地震動予測地図2018年版の地震活動モデルで表現されている地震数として、30年間での期待値を規模ごとに算定し累積地震数で表す。手順は以下の通り。
・非定常な地震活動モデルが採用されている地震については、基準日から30年間の地震発生確率を地震数の期待値とする。
・南海トラフの地震(M8~9クラス)、相模トラフ沿いのM8クラスの地震、千島海溝沿いの超巨大地震(17世紀型)、十勝沖および根室沖のプレート間巨大地震については、30年間の全体の地震発生確率に各発生パターンの重みを乗じたものをそれぞれ30年間の地震数の期待値とする。
・ポアソン過程が採用されている地震については、地震発生頻度に基づく30年間の地震数を用いる。
・モーメントマグニチュード(Mw)でモデル化されている地震の規模について、主要活断層帯で発生する地震はM = (Mw-1.08) / 0.78、それ以外の地震は M = Mwにより気象庁マグニチュードMに変換する。
ここでは、地震動予測地図における「平均ケース」と「最大ケース」に加えて、「長期間平均ハザードの計3種類の地震活動モデルによる累積地震数のデータを作成した。
比較対象とする地震カタログについては、宇津(1982)による1885~1925年のM 6.0以上の地震と1926~2010年のM 5.0以上の気象庁震源データを組み合わせたものとする。このとき、地震動予測地図と同じルールに従って余震を除去している。
陸側プレートの浅い地震については、平均ケースの場合M7.0未満、最大ケースの場合M7.7未満においてモデルとカタログの地震数は整合的であるが、それより大きな規模ではモデルの地震数が小さい傾向が見られる。フィリピン海プレートの地震については、M8.0以下においてモデルとカタログの地震数が整合的であるものの、それより大きな規模ではモデルの地震数が極端に大きくなっている。これは南海トラフの地震(M8~9クラス)において時間予測モデルに基づいた大きな発生確率がモデル化されていることが影響しており、「長期間平均ハザード」のモデルではM8.0以上の地震数が小さくなる。ただし、カタログにおける最大規模の地震は1946年の南海地震(M8.0)であり、それより大きな規模については直接カタログの地震数との比較はできない。太平洋プレートの地震については、M7.0未満においてモデルとカタログの地震数が整合的であるが、それより大きな規模ではモデルの地震数がやや大きい。M7.8以上については、千島海溝沿いの地震について新たな長期評価に基づいてモデルが変更となった結果、地震数が増えていることも影響している。
一方、地震カタログの期間を平成23年東北地方太平洋沖地震後の2015年まで拡張した場合、フィリピン海プレートおよび太平洋プレートの地震に関しては、活発な余震活動や誘発地震の影響が含まれることによりM7.0未満の規模の小さな地震数はモデルの方が小さくなる。東北地方太平洋沖地震後のカタログについては余震をどのように扱うかによって大きく地震数が変わる。現状では地震ハザード評価のためのモデル化に向けた検討を行っている最中であるが、本検討に基づいた地震の総数を押さえることも重要な視点となるであろう。