[SSS14-P24] 2011年東北沖地震による繰り返し地震の震源パラメータ変化
東北日本の太平洋プレート沈み込み帯では多くの小繰り返し地震が発生している。これら繰り返し地震の震源特性やその時空間変化を理解することは、プレート運動に伴う載荷速度や繰り返し地震と同じ構造で発生すると考えられる大規模地震の発生メカニズムなどを理解するうえで重要な手掛かりとなる。本研究では2011年東北地方太平洋沖地震(本震)の前後(2011年の前後5年)にプレート境界で発生した繰り返し地震について、地震観測波形を用いて推定される震源パラメータの変化について調べた。なお、本研究で解析対象となる繰り返し地震は約3000系列で総数は約7000個である。本発表では岩手県釜石沖と岩手県岩泉で発生した繰り返し地震の特徴について述べる。
釜石沖では繰り返し間隔がおよそ5年でM4.9前後の地震が起きていたのだが、本震直後は繰り返し間隔が非常に短くなり、またマグニチュードも非常に大きくなった。その後は繰り返し間隔、マグニチュード共に本震前の傾向に近づいている。スペクトル比法から求めた応力降下量については、本震前は約14 MPaであったが、その後はバラつきがあるものの本震前よりも小さくなっていき、1-3 MPa程度に落ち着いていく様子が見られる。コーナー周波数から断層半径を推定しその時間変化を見ると、本震前は約1 kmであったが本震直後はおよそ5倍にまで大きくなったことが分かった。また、断層半径についても時間の経過とともに本震前のサイズに戻っていく様子が見られたが、これはすべりインバージョンによって破壊域を求めたUchida et al. (2015)の結果と一致するものである。このような本震前後の変化は本震の余効すべりの影響によると考えられる。
一方、岩泉で発生する繰り返し地震は本震前後での明瞭なマグニチュードの変化や応力降下量の変化は見られなかった。もし、この地域が釜石沖よりも本震の余効すべりの影響をあまり受けていないとすれば、釜石沖と異なり、東北沖地震の影響が小さい可能性が考えられる。一方、コーナー周波数の方位分布から破壊の指向性を推定すると、M4以上の繰り返し地震では指向性が現れないのに対して、小さな地震では指向性が現れることが分かり、これらの繰り返し地震が複雑な破壊からなることが示唆される。岩泉の繰り返し地震は複合的な破壊を起こすことがあるという先行研究(荒尾・他, 2007)もあるため、この地域では、複合的な破壊や小破壊間の相互作用も繰り返し地震の発生様式に関わることが考えられる。
釜石沖では繰り返し間隔がおよそ5年でM4.9前後の地震が起きていたのだが、本震直後は繰り返し間隔が非常に短くなり、またマグニチュードも非常に大きくなった。その後は繰り返し間隔、マグニチュード共に本震前の傾向に近づいている。スペクトル比法から求めた応力降下量については、本震前は約14 MPaであったが、その後はバラつきがあるものの本震前よりも小さくなっていき、1-3 MPa程度に落ち着いていく様子が見られる。コーナー周波数から断層半径を推定しその時間変化を見ると、本震前は約1 kmであったが本震直後はおよそ5倍にまで大きくなったことが分かった。また、断層半径についても時間の経過とともに本震前のサイズに戻っていく様子が見られたが、これはすべりインバージョンによって破壊域を求めたUchida et al. (2015)の結果と一致するものである。このような本震前後の変化は本震の余効すべりの影響によると考えられる。
一方、岩泉で発生する繰り返し地震は本震前後での明瞭なマグニチュードの変化や応力降下量の変化は見られなかった。もし、この地域が釜石沖よりも本震の余効すべりの影響をあまり受けていないとすれば、釜石沖と異なり、東北沖地震の影響が小さい可能性が考えられる。一方、コーナー周波数の方位分布から破壊の指向性を推定すると、M4以上の繰り返し地震では指向性が現れないのに対して、小さな地震では指向性が現れることが分かり、これらの繰り返し地震が複雑な破壊からなることが示唆される。岩泉の繰り返し地震は複合的な破壊を起こすことがあるという先行研究(荒尾・他, 2007)もあるため、この地域では、複合的な破壊や小破壊間の相互作用も繰り返し地震の発生様式に関わることが考えられる。