11:00 〜 11:15
[SSS15-11] 糸魚川–静岡構造線活断層系中北部区間におけるP波反射法地震探査
キーワード:糸魚川–静岡構造線活断層系、松本盆地東縁断層、活断層、反射法地震探査、地下構造
本研究では糸魚川–静岡構造線活断層系の中北部区間について,震源断層モデルを構築する上で重要な活断層地下形状を明らかにする目的でP波反射法地震探査を実施した.結果断面に対して地質学的解釈を行い,最大で深度約2 kmまでの糸魚川–静岡構造線活断層系中北部区間の地下構造を得た.
糸魚川–静岡構造線活断層系は本州の中央部を南北に横断する全長約160 kmの活断層系であり,そのうち,安曇野市から茅野市に至る長さ約45 kmの中北部区間(明科–諏訪湖南方区間)は左横ずれが主体であると考えられている(例えば,地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2015).同断層系中北部区間は.松本盆地東縁断層(明科以南),牛伏寺断層,岡谷断層,諏訪湖南岸断層群などといった主に北北西-南南東走向の断層によって構成されている(例えば,地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2015).ただし,これらの主要な断層に斜交して,松本市の北部では北北東-南南西走向の全長約5 kmの断層が分布する.本研究では,上記の松本盆地東縁断層(明科以南)と断層長の短い北北東-南南西走向の断層を探査の対象とした.
本探査は2測線(田沢測線および岡田測線と名付けた)において実施した.田沢測線は長野県安曇野市徳次郎周辺から大口沢周辺に至る約4.3 kmの区間であり,岡田測線は長野県松本市浅間温泉西方から岡田神社周辺に至る約1.3 kmの区間である.それぞれの探査測線は対象とする活断層に対してほぼ直交するように設定した.データ取得は共通中間点重合法(例えば,物理探査学会, 1998)によって行った.発震は田沢測線では中型バイブレータ震源(米国IVI社製のEnviro Vibe),岡田測線では中型油圧インパクタ震源(株式会社地球科学総合研究所製のJMI-200)で行い,標準発震点間隔は10 m(田沢測線),5 m(岡田測線)である.受振器は固有周波数15 Hzのもの(米国Geospace社製のOMNI-2400)を用いて,標準受振点間隔が10 mとなるように受振点を配置し,同時収録チャネル数は130 チャネル(田沢測線),140チャネル(岡田測線)とした.データ記録は独立型レコーダー(米国Geospace社製のGSR/GSX)を用いて,サンプリング間隔0.5 msで行った.
一般的な共通反射点重合法によるデータ処理の結果,マイグレーション深度変換断面を得て,田沢測線では深度2 km程度まで,岡田測線では深度300 m程度までの地下構造をイメージングすることができた.田沢測線の断面の特徴を概説すると,都市圏活断層図松本図幅で示された松本盆地東縁断層の地表推定位置(松多ほか, 1999)の付近よりも西側の領域では,連続性が非常に良く浅部ではほぼ水平で深部では緩やかに東傾斜する反射面群が見られた.それに対して,松本盆地東縁断層の東側かつ山地盆地境界の西側では水平あるいはやや西傾斜であるが連続性の悪い短い反射面群が見られた.さらに山地盆地境界の東側山地内では断面内での半波長が1 km以下の規模の褶曲列が見られた.次に,岡田測線の断面の特徴を概説すると,断面の東部(段丘および沖積低地が分布)ではほぼ水平な連続性の良い反射面群で特徴付けられる.また,断面の中部(段丘が分布)でも反射面の連続性は良いが,緩やかに東傾斜しており一部は上に凸の形状を示している.対して,断面の西部(山地)では反射面の連続性が悪くなっている.
田沢測線の結果断面における水平および緩やかな東傾斜の反射面群の東端に注目すると,表層では松本盆地東縁断層の推定地表位置(松多ほか, 1999)にほぼ相当する.したがって,この反射面群の途切れは松本盆地東縁断層を示すものと考えられる.表層から深度500 m程度まではこの断層を挟んで西側には上述した水平な反射面群が,東側には連続性は悪いものの水平あるいは西傾斜する特徴を持つ反射面群が見られる.さらにより深部を見ると反射面群の途切れの位置は深くなるほどやや東側によっており,田沢測線の断面から解釈される松本盆地東縁断層の地下形状は75度前後の東傾斜となる.また,岡田測線では,水平な連続性の良い反射面分布域(東部),東傾斜した連続性の良い反射面分布域(中部),反射面の連続性が悪い領域(西部),のそれぞれ表層付近での境界位置は都市圏活断層図松本図幅(松多ほか, 1999)に示された断層の地表位置に相当する.また,上述した東部領域-中部領域および中部領域-西部領域の地下での境界部では反射面の途切れ・食い違いが見られ,これらは断層によるものであると解釈した.くわえて,中部領域の内部でも特徴的な反射面の食い違いが見られ,これも断層と解釈した.岡田測線の断面で解釈した3条の断層はすべて30度~45度程度の西傾斜である.
糸魚川–静岡構造線活断層系は本州の中央部を南北に横断する全長約160 kmの活断層系であり,そのうち,安曇野市から茅野市に至る長さ約45 kmの中北部区間(明科–諏訪湖南方区間)は左横ずれが主体であると考えられている(例えば,地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2015).同断層系中北部区間は.松本盆地東縁断層(明科以南),牛伏寺断層,岡谷断層,諏訪湖南岸断層群などといった主に北北西-南南東走向の断層によって構成されている(例えば,地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2015).ただし,これらの主要な断層に斜交して,松本市の北部では北北東-南南西走向の全長約5 kmの断層が分布する.本研究では,上記の松本盆地東縁断層(明科以南)と断層長の短い北北東-南南西走向の断層を探査の対象とした.
本探査は2測線(田沢測線および岡田測線と名付けた)において実施した.田沢測線は長野県安曇野市徳次郎周辺から大口沢周辺に至る約4.3 kmの区間であり,岡田測線は長野県松本市浅間温泉西方から岡田神社周辺に至る約1.3 kmの区間である.それぞれの探査測線は対象とする活断層に対してほぼ直交するように設定した.データ取得は共通中間点重合法(例えば,物理探査学会, 1998)によって行った.発震は田沢測線では中型バイブレータ震源(米国IVI社製のEnviro Vibe),岡田測線では中型油圧インパクタ震源(株式会社地球科学総合研究所製のJMI-200)で行い,標準発震点間隔は10 m(田沢測線),5 m(岡田測線)である.受振器は固有周波数15 Hzのもの(米国Geospace社製のOMNI-2400)を用いて,標準受振点間隔が10 mとなるように受振点を配置し,同時収録チャネル数は130 チャネル(田沢測線),140チャネル(岡田測線)とした.データ記録は独立型レコーダー(米国Geospace社製のGSR/GSX)を用いて,サンプリング間隔0.5 msで行った.
一般的な共通反射点重合法によるデータ処理の結果,マイグレーション深度変換断面を得て,田沢測線では深度2 km程度まで,岡田測線では深度300 m程度までの地下構造をイメージングすることができた.田沢測線の断面の特徴を概説すると,都市圏活断層図松本図幅で示された松本盆地東縁断層の地表推定位置(松多ほか, 1999)の付近よりも西側の領域では,連続性が非常に良く浅部ではほぼ水平で深部では緩やかに東傾斜する反射面群が見られた.それに対して,松本盆地東縁断層の東側かつ山地盆地境界の西側では水平あるいはやや西傾斜であるが連続性の悪い短い反射面群が見られた.さらに山地盆地境界の東側山地内では断面内での半波長が1 km以下の規模の褶曲列が見られた.次に,岡田測線の断面の特徴を概説すると,断面の東部(段丘および沖積低地が分布)ではほぼ水平な連続性の良い反射面群で特徴付けられる.また,断面の中部(段丘が分布)でも反射面の連続性は良いが,緩やかに東傾斜しており一部は上に凸の形状を示している.対して,断面の西部(山地)では反射面の連続性が悪くなっている.
田沢測線の結果断面における水平および緩やかな東傾斜の反射面群の東端に注目すると,表層では松本盆地東縁断層の推定地表位置(松多ほか, 1999)にほぼ相当する.したがって,この反射面群の途切れは松本盆地東縁断層を示すものと考えられる.表層から深度500 m程度まではこの断層を挟んで西側には上述した水平な反射面群が,東側には連続性は悪いものの水平あるいは西傾斜する特徴を持つ反射面群が見られる.さらにより深部を見ると反射面群の途切れの位置は深くなるほどやや東側によっており,田沢測線の断面から解釈される松本盆地東縁断層の地下形状は75度前後の東傾斜となる.また,岡田測線では,水平な連続性の良い反射面分布域(東部),東傾斜した連続性の良い反射面分布域(中部),反射面の連続性が悪い領域(西部),のそれぞれ表層付近での境界位置は都市圏活断層図松本図幅(松多ほか, 1999)に示された断層の地表位置に相当する.また,上述した東部領域-中部領域および中部領域-西部領域の地下での境界部では反射面の途切れ・食い違いが見られ,これらは断層によるものであると解釈した.くわえて,中部領域の内部でも特徴的な反射面の食い違いが見られ,これも断層と解釈した.岡田測線の断面で解釈した3条の断層はすべて30度~45度程度の西傾斜である.