[SSS16-P17] 2017年から2018年にかけての志摩半島長期的スロースリップ
キーワード:長期的スロースリップイベント、志摩半島、GNSS
南海トラフ沿いでは長期的スロースリップイベント(SSE)や短期的SSEなどのスロー地震が発生しており、その分布や規模、発生頻度などを把握することは、プレート境界の特性の時空間変化に関する理解をもたらすことが期待される。特に長期的SSEの発生領域は将来の巨大地震に関連する固着域に隣接しており、短期的SSEと比較して規模も大きい。長期的SSEの分布や発生頻度、規模などの情報は地震発生シミュレーションの再現対象にもなっており、より現実に近いモデルを構築する上でもSSEの詳細な把握は重要である。
GEONETのF3解座標値を用い、各点についてアンテナ交換などによるオフセット、地震によるオフセット、年周・半年周成分、直線トレンドの補正を行った。アンテナ交換などに伴うオフセットは、国土地理院による値(corrf3o.dat)を用いた。地震によるオフセットは、地震をはさむ前後10日間の平均値の差から求めた。非定常変位が小さく、2011年東北地震の余効変動が続いているため、2017年4月から2018年10月の変位から2016年1月から2017年4月の変位を差し引いた。両者の期間長は異なるが、Kobayashi (2017)による余効変動の近似関数によると、両期間の余効変動の違いは1%未満である。その結果、志摩半島に7-8 mm程度の南東向きの動きが見られた。志摩半島の北西にあたる丹後半島付近との基線長を見ると、志摩半島の志摩、南伊勢など数点には2017年後半から伸びが見られる。これらの点の周囲の点と丹後半島付近との基線長には特に傾向の変化は見られないため、2017年後半からの基線長の伸びは志摩半島側の非定常変位によると考えられる。非定常変位の原因としては一時的なオフセットや短期的SSEによるものではなく、長期的SSEが考えられる。
2017年4月から2018年10月の変位を用いてプレート境界上のすべりを推定したところ、志摩半島付近を中心とするすべり分布が推定され、すべりの規模はMw 6.5相当であった。すべり領域の中心の深さはプレート等深線30 km付近にあり、南海トラフ沿いの他の長期的SSEと同程度の深さである。
本調査には国土地理院GEONETの座標値およびオフセット値を使用させていただきました。
左図: 志摩半島付近の2017年4月から2018年10月の非定常変位。黒矢印は観測値、白矢印は右図から計算した理論値。
右図:左図の非定常変位から推定したプレート境界でのすべり分布。
GEONETのF3解座標値を用い、各点についてアンテナ交換などによるオフセット、地震によるオフセット、年周・半年周成分、直線トレンドの補正を行った。アンテナ交換などに伴うオフセットは、国土地理院による値(corrf3o.dat)を用いた。地震によるオフセットは、地震をはさむ前後10日間の平均値の差から求めた。非定常変位が小さく、2011年東北地震の余効変動が続いているため、2017年4月から2018年10月の変位から2016年1月から2017年4月の変位を差し引いた。両者の期間長は異なるが、Kobayashi (2017)による余効変動の近似関数によると、両期間の余効変動の違いは1%未満である。その結果、志摩半島に7-8 mm程度の南東向きの動きが見られた。志摩半島の北西にあたる丹後半島付近との基線長を見ると、志摩半島の志摩、南伊勢など数点には2017年後半から伸びが見られる。これらの点の周囲の点と丹後半島付近との基線長には特に傾向の変化は見られないため、2017年後半からの基線長の伸びは志摩半島側の非定常変位によると考えられる。非定常変位の原因としては一時的なオフセットや短期的SSEによるものではなく、長期的SSEが考えられる。
2017年4月から2018年10月の変位を用いてプレート境界上のすべりを推定したところ、志摩半島付近を中心とするすべり分布が推定され、すべりの規模はMw 6.5相当であった。すべり領域の中心の深さはプレート等深線30 km付近にあり、南海トラフ沿いの他の長期的SSEと同程度の深さである。
本調査には国土地理院GEONETの座標値およびオフセット値を使用させていただきました。
左図: 志摩半島付近の2017年4月から2018年10月の非定常変位。黒矢印は観測値、白矢印は右図から計算した理論値。
右図:左図の非定常変位から推定したプレート境界でのすべり分布。