13:45 〜 14:00
[SSS17-01] 富士山で発生する深部低周波地震のスペクトルの特徴
★招待講演
キーワード:深部低周波地震、スペクトル、富士山
火山下の地殻中部からマントル最上部で発生する深部低周波地震は、火山深部の状態を知るための貴重な信号である。しかし深部低周波地震の規模は大きくてもM3程度であるために地震波から得られる情報が限られ、まだ震源の物理的な状態の理解は進んでいない。地震の発生メカニズムの解明には、地震波の振幅とともにそのスペクトルも重要な情報源である。例えば相似則が成り立つ断層のずれが震源であれば、地震の規模と卓越周波数の間には相関が現れる。また特徴的な長さを有する振動現象であれば、規模に関係ないスペクトル・ピークが現れることが期待される。本研究では、富士山で発生する深部低周波地震の中でも特に続発性が強く、比較的大きい活動を対象にスペクトル解析を行い、震源に関する情報を引き出すことを目的としている。
スペクトル解析の対象とした地震活動は、2012年~2015年に発生した低周波地震活動の中から振動継続時間が5~20分程度の11回の活動を選択した。それぞれの活動は複数の低周波地震の続発的発生で形成されている。気象庁の震源をもとにすると1回の活動中に発生した最大地震の規模はM0.9~M1.8の範囲、震源の深さは11~20kmの範囲である。
観測データはV-net観測点(防災科学技術研究所)のボアホール観測点(固有周期1Hz)のデータを使用した。スペクトル解析には、Morlet ウェーブレットをアナライジング・ウェーブレットとしたウェーブレット解析を用いた。深部低周波地震の波形には、周波数が数Hz以下の振動と10Hz程度の振動が含まれ、時間的に変動しているので、スペクトルの時間変化を調べるにはウェーブレット解析が適している。ここではウェーブレット解析結果に対して、1秒ごとに幅が4秒のウィンドを設定してスペクトルが最大になる周波数を求め、卓越周波数の時間変化を描いた。
ウェーブレット解析の結果、下記のスペクトルの特徴が分かった。
① 今回調査した11個の低周波地震活動の主たる卓越周波数は、最大地震の規模に関係なく、いずれも1Hz~2Hzの比較的狭い周波数範囲で安定している。
② 振幅が大きい振動には、数Hz~10Hz程度の比較的高周波の振動が重畳する傾向が見られる。
③ 約5分間の活動中に卓越周波数が1.5Hzから1Hzに時間とともに漸次的に変化したものが、11個のなかの1個のみであるが、見られた。
今回対象とした低周波地震のスペクトルの特徴は、富士山の深部低周波地震では震源で安定して1~2Hzの振動を大きく励起し、振幅が大きいときは比較的高周波振動も励起できるものでなければならないという制約を震源モデルに与える。
スペクトル解析の対象とした地震活動は、2012年~2015年に発生した低周波地震活動の中から振動継続時間が5~20分程度の11回の活動を選択した。それぞれの活動は複数の低周波地震の続発的発生で形成されている。気象庁の震源をもとにすると1回の活動中に発生した最大地震の規模はM0.9~M1.8の範囲、震源の深さは11~20kmの範囲である。
観測データはV-net観測点(防災科学技術研究所)のボアホール観測点(固有周期1Hz)のデータを使用した。スペクトル解析には、Morlet ウェーブレットをアナライジング・ウェーブレットとしたウェーブレット解析を用いた。深部低周波地震の波形には、周波数が数Hz以下の振動と10Hz程度の振動が含まれ、時間的に変動しているので、スペクトルの時間変化を調べるにはウェーブレット解析が適している。ここではウェーブレット解析結果に対して、1秒ごとに幅が4秒のウィンドを設定してスペクトルが最大になる周波数を求め、卓越周波数の時間変化を描いた。
ウェーブレット解析の結果、下記のスペクトルの特徴が分かった。
① 今回調査した11個の低周波地震活動の主たる卓越周波数は、最大地震の規模に関係なく、いずれも1Hz~2Hzの比較的狭い周波数範囲で安定している。
② 振幅が大きい振動には、数Hz~10Hz程度の比較的高周波の振動が重畳する傾向が見られる。
③ 約5分間の活動中に卓越周波数が1.5Hzから1Hzに時間とともに漸次的に変化したものが、11個のなかの1個のみであるが、見られた。
今回対象とした低周波地震のスペクトルの特徴は、富士山の深部低周波地震では震源で安定して1~2Hzの振動を大きく励起し、振幅が大きいときは比較的高周波振動も励起できるものでなければならないという制約を震源モデルに与える。