日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT44] 空中からの地球計測とモニタリング

2019年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 A07 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:楠本 成寿(富山大学大学院理工学研究部(都市デザイン学))、小山 崇夫(東京大学地震研究所)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、座長:楠本 成寿小山 崇夫(東京大学 地震研究所 火山センター)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所)、光畑 裕司(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

16:00 〜 16:15

[STT44-03] 紀伊山系の岩盤クリープ斜面での空中電磁探査により得られた地盤の比抵抗分布について

*木下 篤彦1,2田中 健貴2桜井 亘1内田 太郎1林 幸一郎3河戸 克志4奥村 稔4 (1.国土交通省国土技術政策総合研究所、2.国土交通省近畿地方整備局大規模土砂災害対策技術センター、3.応用地質株式会社、4.大日本コンサルタント株式会社)

キーワード:空中電磁探査、比抵抗分布、岩盤クリープ

2011年9月の台風Talasでは,紀伊半島で多数の深層崩壊が発生している.これらの被害を軽減するには,事前に深層崩壊危険斜面を把握しておく必要がある.深層崩壊危険斜面の抽出技術としては,レーザプロファイラなどの地形データを用いる手法,地質・地形から判定する手法,斜面末端での湧水の量や水質から判定する手法などがある.これらの技術は,一長一短あり,危険斜面の判定度や規模を推定するには不十分な側面がある.そこで,これらの手法を補完する目的で,空中電磁探査により得られる地盤の比抵抗分布による危険度や崩壊規模の推定手法を提案する.本研究では,赤谷西地区の2箇所の岩盤クリープ斜面を研究フィールドとし,推定手法の妥当性を検証する.
 本研究では,赤谷西地区において過去に得られた空中電磁探査から,斜面の鉛直比抵抗分布を作成する.まず,測定周波数と得られた地盤の比抵抗から,平均透入深度を推定する.次に,データが得られていない空白部分を補完する.最後に,ノイズを消す目的で,平滑化処理を行う.なお,得られた地盤の鉛直比抵抗分布はカラー表示することでより危険度の判定や崩壊深の推定が容易になる.このため,本研究では,赤谷西地区で得られた全ての比抵抗から,頻度に応じて色を塗り分ける方法を採用した.
 赤谷西地区の斜面においては,崩壊面で比抵抗が鉛直方向に急激に変化することが分かった.これにより,およその崩壊危険度や崩壊深を推定することができる.また,比抵抗を鉛直方向に一次微分をすることで,さらに詳細に崩壊面を推定できることが分かった.