日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT44] 空中からの地球計測とモニタリング

2019年5月26日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:楠本 成寿(富山大学大学院理工学研究部(都市デザイン学))、小山 崇夫(東京大学地震研究所)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

[STT44-P02] 空中磁気測量で検出された2018年新燃岳噴火前後の全磁力変化

*小山 崇夫1金子 隆之1大湊 隆雄1渡邉 篤志1前野 深1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:空中磁気測量、新燃岳

我々は2011年噴火後の5月に初めの観測を行って以来、2017年10月までに計6回の繰り返し空中磁気測量を実施してきた。それらの測定から各時点での磁気ダイポールモーメントを推定すると、単調に増加しており、また、2017年までのデータは経過時間の1/2乗によく比例することがわかった。これは、2011年噴火の際に火口内に滞留した約15Mm3の溶岩が熱拡散で冷却することで磁化を獲得していることが示唆される。
新燃岳では2018年3月に再噴火がありおよそ14Mm3の溶岩がさらに火口内に滞留した。そこで我々は噴火後の2018年10月に再度空中磁気測量を実施した。従来どおり、新燃岳の西側を対地高度100m,測線間隔100mをおおよそ保ちながら速度10m/sで測定を行った。測線長はおよそ38 kmである。
2011年5月観測時からの全磁力変化を見積もると、およそ±400 nTと非常に強くなっていた。これは、火口内溶岩の帯磁として換算すると、81MAm2の磁気ダイポールモーメントに相当し、従来の時間変化曲線から推定される値を10MAm2ほど強く逸脱する値である。これはあらたに滞留した溶岩の表面が急速に冷却帯磁したためと考えられる。
また、帯磁速度は2011年噴火時と比べると、見掛け上およそ半減していることがわかった。岩石磁化強度は2011年と2018年噴火ではそれほど変わっていないと仮定すると、2018年にあらたに溶岩が噴出した際に、今まで帯磁していた火口内溶岩の一部が熱消磁したため、磁場測定値から推測される全体の帯磁量が目減りしたものと考えられる。