日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT45] 合成開口レーダー

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:木下 陽平(筑波大学)、森下 遊(国土地理院)、小林 祥子(玉川大学)、阿部 隆博(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター)

[STT45-P05] ALOS-2/PALSAR-2を用いたデブリ氷河の氷河上湖の抽出

杵淵 千香子2、*奈良間 千之1山之口 勤3田殿 武雄4 (1.新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム、2.新潟大学大学院自然科学研究科、3.リモート・センシング技術センター、4.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:氷河上湖、デブリ氷河、ALOS-2/PALSAR-2、起伏量

ヒマラヤ東部地域(ネパール東部とブータン)では,近年,巨大な氷河湖を持たないデブリ氷河(岩屑に覆われた巨大な谷氷河)からの出水による大規模な洪水が生じ,下流域の住民の脅威になっている.これら洪水は,デブリ氷河上に発達する小規模な氷河上湖や氷河内水路に貯まった水が氷河内水路の開放により出水が生じたと考えられている(Komori et al., 2012; Miles et al., 2018).衛星画像によるモニタリング手法で急激な氷河上湖の拡大を監視できればよいが,夏季のヒマラヤ地域はモンスーンの雲で覆われているため,光学衛星の可視画像を用いた監視は難しい.雲を透過して地上の湖面データを取得できる衛星データとしてマイクロ波データがある.ヒマラヤ地域では夏季に毎月1回データが取得されており,モンスーン期の氷河上湖をモニタリングに適している.しかし,デブリ氷河の氷河上湖の後方散乱係数は,氷河表面の起伏の影響で値が一様でなく,氷壁や陥没している地形でも後方散乱が小さくなるなど問題がある.そこで,本研究では,ALOS-2/PALSAR-2のマイクロ波データを用いて,デブリ氷河上の後方散乱係数に影響を及ぼす要因を除外し,デブリ氷河の氷河上湖を抽出した.
 ゴジュンバ氷河で同時期に撮影されたSentinel-2とALOS-2 /PALSAR-2から抽出した氷河上湖の比較をおこなった結果,起伏量の小さいA区間と起伏量の大きいB~F区間で氷河上湖の後方散乱係数が異なっていた.末端部の氷河上湖の後方散乱係数は小さいが,中流部では値にばらつきがみられた.A区間には大規模な湖が発達し,起伏量の大きいB~F区間には小規模な湖が多数発達しており,数と面積の抽出の割合は末端で高い結果であった.