日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT46] 最先端ベイズ統計学が拓く地震ビッグデータ解析

2019年5月27日(月) 13:45 〜 15:15 A08 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:長尾 大道(東京大学地震研究所)、加藤 愛太郎(東京大学地震研究所)、前田 拓人(弘前大学大学院理工学研究科)、矢野 恵佑(東京大学)、座長:吉光 奈奈(東京大学地震研究所)、松田 孟留(東京大学大学院情報理工学系研究科)

13:45 〜 14:00

[STT46-01] A bad inversion result suggests bad modeling: 悪いインバージョン結果には理由がある

★招待講演

*深畑 幸俊1八木 勇治2 (1.京都大学防災研究所、2.筑波大学生命環境系)

キーワード:インバージョン解析、ABIC、地震すべり分布

インバージョン解析をすると、何らかの結果が得られるものの、それが自分の抱いていたイメージや期待にそぐわないことは珍しくない。例えば、地震の滑り分布インバージョンの場合、典型的には、推定された滑り分布が過度に暴れていたり、一部領域で全体とは逆向きに滑っていたり(負の滑り)といったことが起こる。そういう場合に、見栄えの良い結果を得るために、しばしば滑らかさの程度(smoothing parameter)を結果を見つつ調整したり、非負の条件を課したりなどといったことがなされる。しかし、滑らかさの程度はABIC(赤池のベイズ情報量規準)などを用いて本来統計的かつ客観的に定められるべきであり、非負の条件は(物理的に合理的と多くの人が考えているが)不偏推定の原則から逸脱することに注意すべきである。
 インバージョン解析では通常、モデル化に問題があれば、おかしな結果が得られると考えられる。そして逆に、おかしな結果が得られたならば、それはモデル化に何らかの問題があることを疑うべきである。
 本講演では、既存の方法ではおかしな結果が得られた問題に対し、モデル化の各種過程を見直すことにより、その問題を解決したいくつかの例を示す。このような営みを積み重ねていくことにより、地球物理学のより正しい理解に到達していくことができるだろう。