日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT46] 最先端ベイズ統計学が拓く地震ビッグデータ解析

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:長尾 大道(東京大学地震研究所)、加藤 愛太郎(東京大学地震研究所)、前田 拓人(弘前大学大学院理工学研究科)、矢野 恵佑(東京大学)

[STT46-P01] 深層学習を用いたP波初動の極性検出

*原 将太1深畑 幸俊2飯尾 能久2 (1.京都大学 理学研究科 地球惑星科学専攻、2.京都大学防災研究所)

キーワード:機械学習、深層学習、初動極性検出

地震のメカニズム解を決定するためには,P波の初動極性の検出が必要である.P波初動極性についてこれまで様々な自動検出アルゴリズムの研究が進められてきたが,特徴量抽出などに基づく既存の伝統的な方法は人間の専門家よりも精度が低いという問題があった.そのため,P波初動極性の自動検出アルゴリズムを用いる際は,専門家のチェックを経て使用されるのが一般的だった.本研究では,生の地震波形データとP波の到達時刻の情報から,直接P波初動極性を検出することの可能な畳み込みニューラルネットワーク(CNN; Convolutional Neural Network)のモデルを開発した.観測データとしては,西日本(山陰地方,近畿地方北部)の稠密地震観測網で得られた250 Hzの地震波形(約13万個)と定常観測網で得られた100 Hzの地震波形(約4万個)を使用し,P波初動極性の正解データとして専門家による検出結果を用いてCNNの訓練を行った.訓練に用いていない地震波形に対するCNNによる初動極性検出結果は,専門家が検出した結果に対し,約98 % (250 Hz)と約95 % (100 Hz)の一致精度を有した.地域依存性を調べるために,次に地震波形を観測地域で分け,片方のデータを用いてCNNを訓練しもう一方のデータに適用した場合,一致精度は最大でも約2 %の減少に留まり,地域によってCNNを再訓練させる必要性がほとんど無いことがわかった.