日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC35] 火山防災の基礎と応用

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 105 (1F)

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、石峯 康浩(鹿児島大学地震火山地域防災センター)、久保 智弘(防災科学技術研究所)、座長:吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、石峯 康浩(鹿児島大学地域防災教育研究センター)

15:45 〜 16:00

[SVC35-08] IVHHNの新しいウェブサイトとパンフレットの紹介

*石峯 康浩1 (1.鹿児島大学地震火山地域防災センター)

キーワード:IVHHN、HIVE、マスク

発表者が日本語に翻訳した国際火山災害健康リスク評価ネットワーク(International Volcanic Health Hazard Network= IVHHN)の新しいホームページとパンフレットの概要を紹介する。IVHHNは、火山活動に起因する健康影響に関する研究や情報交換を担う組織として2003年2月に結成された国際火山学地球内部化学協会(IAVCEI)の小委員会である。ダラム大学のクレア・ホーエル博士らIVHHNの主要メンバーは、Enhancing Learning and Research for Humanitarian Assistance (ELRHA)という国際支援団体からの助成を受け、2015年から2018年にかけて「A New Evidence Base for Respiratory Health Interventions in Volcanic Eruption Crises(通称HIVEプロジェクト)」を実施した。その研究成果を盛り込み、2018年8月にIVHHNのホームページの全面的な改訂を実施して公開した。特筆すべき点は、降灰時にマスクを利用する効果や住民の利用実態等を日本、インドネシア、メキシコでHIVEプロジェクトの一環として調査した結果に基づき、IVHHNとしての推奨マスクについてガイドラインをまとめた点である。同ガイドラインでは、大規模な降灰が発生した場合は、なるべく屋内に留まることを最優先とすべきとした上で、長時間、外出する場合ならびに清掃作業を行う場合にはN95(もしくは同等のレベルを示す日本の基準であるDS2)の規格を満たす産業用の防じんマスクで、自分の顔のサイズにしっかりと合ったものを着用することを推奨している。また、産業用のマスクの多くは、子供の利用を想定していないために子供には大きすぎ、効果が得られにくいことを注意喚起している。IVHHNの新しいホームページは、これらの情報を追加して内容を拡充した上で、最近の情報端末の進展に合わせ、ホームページのデザインをスマートフォン対応したリスポンシブ・レイアウトに変更する等の改良も加えている。また、動画配信サイトが国際的に広く利用されている状況を踏まえ、マスクの装着方法や降灰時の留意点を数分程度にまとめた3点の映像も作成し、同ページ上で公開している。これらの動画はYouTubeならびにVimeoでも配信されている。これらは、また、YouTubeの字幕表示機能を利用して、英語だけでなくスペイン語やインドネシア語でも専門家が翻訳した字幕が表示できるようになっている。発表者は2005年よりIVHHNのメンバーとして日本語版ウェブサイトの管理を担当しているため、英語版のホームページが改訂されたのを受けて翻訳作業を開始し、2019年1月2日より新しい日本語版ホームページをインターネット上に公開した。従来は発表者本人の個人ホームページで公開していたが、今回の改訂を機に新たに取得した独自ドメイン(http://www.ivhhn.jp/)での公開としている。また、IVHHNが新しく作成した「火山灰から呼吸器を守るために」というパンフレットも日本語に翻訳し、製本した。第1版として2019年1月12日付で2000部を印刷し、同日、鹿児島市の主催で開催された平成30年度の桜島火山爆発総合防災訓練にて約1000部を配布した。さらに、IVHHNでは、同ホームページで公開予定の「火山ガスの健康影響」に関するガイドラインを準備中であり、発表者は同ガイドラインの査読を担当するとともに、同パンフレットで利用する予定の写真の提供も行った。