16:15 〜 16:30
[SVC35-10] 噴火発生時の避難や救助活動を支援するコンテンツの開発
キーワード:次世代火山研究推進事業、火山災害対策技術、富士山チャレンジ
2016年に始まった文部科学省による「次世代火山研究推進事業」は、従前の観測研究・予測研究に加えて「対策研究」も一体的に行うことを目指すプロジェクトである。防災科研では本プロジェクトの主課題の一つである「火山災害対策技術の開発」の課題責任機関として、「火山災害対策のための情報ツールの開発」というサブテーマで対策研究を進めており、その中で「避難・救助支援コンテンツ」の開発を進めている。これはユーザーとして自治体の防災担当者を想定し、ユーザーが平時及び発災時に必要な情報を取得し、適切な事前防災及び初動対応をとることができるようになることを目的としたものである。
多くの犠牲者を出した2014年9月の御嶽山噴火災害では、登山者の動向(※ここでは、「おおよその数」と「大まかな位置」)を把握することが難しく、避難や救助・捜索活動に際し困難が生じたとされる[火山防災対策推進ワーキンググループ(中央防災会議)、2015]。現在でも火口近傍まで登山者が近づくことができる火山は富士山をはじめとして日本国内に多数存在し、噴火災害発生時に登山者の動向を把握することは、その後の避難や救助・捜索活動に際して適切な判断をするために重要であると考えられる。この登山者動向データを取得する試みとして、2015年から富士山における登山者の動向把握実験「富士山チャレンジ」が行われている[Tanaka, COV10, 2018; 本多他、JpGU2018]。富士山は年間20万人以上の登山者が訪れる活火山であり、実験では登山者にビーコンを配布しモニター協力をお願いし、登山道に設置したレシーバーで検知・認識をすることでビーコンを持った登山者の数と位置をリアルタイムで把握することが可能となる。実験に協力してくれた登山者の数は、2017年は約2,300人、2018年は約14,000人であった。2018年の実験では噴火発生を仮定し、どれくらいの時間で特定の場所の登山者の数と位置を把握できるかなどを調査した。
本研究で開発を進めているコンテンツでは富士山チャレンジで得られた登山者の動態データ(人流位置データ)をインプットデータとして利用し、登山者の動態データを可視化し地図上で他の情報(例えば登山道や避難施設、避難経路、ハザード情報等)と重ねて表示できるようにする。こうすることで、噴火発生時に登山者が「どの辺り」に「何人くらい」いるのかを把握することができ、適切な避難指示や救助・捜索活動を行うことができると考えられる。また平時においても、2015年に改訂された活火山法において各火山防災協議会を構成する自治体では避難計画の策定が義務付けられており、計画の策定にあたり避難施設等の設置場所や避難経路を決定する際に、登山者の動態データとその他地図情報を重ね合わせることで、有効な情報を得ることができ、ハザードのシミュレーション等と組み合わせることで、人的被害を推定することができると考えらえる。
本発表では、2018年に富士山で行われた登山者動向把握実験(富士山チャレンジ)の概要と結果を紹介し、得られたデータを利用した避難・救助支援コンテンツ開発の進捗について報告する。
多くの犠牲者を出した2014年9月の御嶽山噴火災害では、登山者の動向(※ここでは、「おおよその数」と「大まかな位置」)を把握することが難しく、避難や救助・捜索活動に際し困難が生じたとされる[火山防災対策推進ワーキンググループ(中央防災会議)、2015]。現在でも火口近傍まで登山者が近づくことができる火山は富士山をはじめとして日本国内に多数存在し、噴火災害発生時に登山者の動向を把握することは、その後の避難や救助・捜索活動に際して適切な判断をするために重要であると考えられる。この登山者動向データを取得する試みとして、2015年から富士山における登山者の動向把握実験「富士山チャレンジ」が行われている[Tanaka, COV10, 2018; 本多他、JpGU2018]。富士山は年間20万人以上の登山者が訪れる活火山であり、実験では登山者にビーコンを配布しモニター協力をお願いし、登山道に設置したレシーバーで検知・認識をすることでビーコンを持った登山者の数と位置をリアルタイムで把握することが可能となる。実験に協力してくれた登山者の数は、2017年は約2,300人、2018年は約14,000人であった。2018年の実験では噴火発生を仮定し、どれくらいの時間で特定の場所の登山者の数と位置を把握できるかなどを調査した。
本研究で開発を進めているコンテンツでは富士山チャレンジで得られた登山者の動態データ(人流位置データ)をインプットデータとして利用し、登山者の動態データを可視化し地図上で他の情報(例えば登山道や避難施設、避難経路、ハザード情報等)と重ねて表示できるようにする。こうすることで、噴火発生時に登山者が「どの辺り」に「何人くらい」いるのかを把握することができ、適切な避難指示や救助・捜索活動を行うことができると考えられる。また平時においても、2015年に改訂された活火山法において各火山防災協議会を構成する自治体では避難計画の策定が義務付けられており、計画の策定にあたり避難施設等の設置場所や避難経路を決定する際に、登山者の動態データとその他地図情報を重ね合わせることで、有効な情報を得ることができ、ハザードのシミュレーション等と組み合わせることで、人的被害を推定することができると考えらえる。
本発表では、2018年に富士山で行われた登山者動向把握実験(富士山チャレンジ)の概要と結果を紹介し、得られたデータを利用した避難・救助支援コンテンツ開発の進捗について報告する。