日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC35] 火山防災の基礎と応用

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 105 (1F)

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、石峯 康浩(鹿児島大学地震火山地域防災センター)、久保 智弘(防災科学技術研究所)、座長:吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、石峯 康浩(鹿児島大学地域防災教育研究センター)

16:45 〜 17:00

[SVC35-12] 活火山に登る登山者の防災意識調査

*伊藤 英之1戸谷 千鶴2新井 瑞穂2 (1.岩手県立大学総合政策学部総合政策学科、2.アジア航測株式会社)

1.はじめに
2014年9月27日の御嶽山噴火を受け,2015年に活動的火山特別措置法が改定され,自治体は火山防災マップの配布等により避難場所,円滑な警戒避難の把握に必要な事項を周知するとともに,自治体による登山者等の情報把握の努力義務と,登山者の火山情報の収集,連絡手段の確保等の努力義務が新たに追加された。一方,登山者への火山防災情報の伝達方法について,現状では十分検討されているとは言い難く,緊急時における円滑な情報提供と避難手法の確立が急務である。また,平常時における避難路・避難経路等に関する普及啓発も重要であると考えられる。

さらに登山者等も自ら情報収集や危険箇所の把握に努めるよう努力義務が定められたが,実際に登山者が登山前に火山情報を収集しているか疑念が残る。さらに登山届の提出など基本的な安全管理行動が適切に行われているか疑問が残る。

そこで本研究では,栗駒山および秋田駒ヶ岳を対象として,登山者の活火山に対する意識調査を行った。


2.調査項目と調査方法
調査は対面アンケートで行われた。下山した登山者に対し,登山経験,,登山届提出の有無,登山時の所持品,噴火警戒レベルの理解度等,年齢,居住地など計21項目の設問を用意した。対面アンケートは栗駒山では2018年10月6日に須川温泉付近の登山道入口で,秋田駒ヶ岳では2018年10月7日にアルパこまくさ前で実施した。サンプル数は栗駒山でN=72,秋田駒ヶ岳でN=81であった。


3.単純集計
 秋田駒ヶ岳では,岩手・秋田両県からの登山者が多いのに対し,栗駒山では関東地方から大型バスで来訪する団体登山者が多く認められた。また秋田駒ヶ岳,栗駒山ともに67%の登山客が登山届を出していない。栗駒山では約40%,秋田駒ヶ岳では約25%の登山客が登っている山を活火山と認識されておらず,噴火警戒レベルに対しても十分理解がされている状況ではないことが明らかになった。