11:30 〜 11:45
[SVC36-10] 富士山の成因とフィリピン海プレートの形状
キーワード:富士山、フィリピン海プレートの形状、3次元シミュレーション
日本を代表する富士山には3つの特異性を持つ. 1つはその大きさで, 500km3から1400km3と標準的火山の体積の数倍以上である. 2つ目はその位置で, 那須火山帯から富士山を北端とする富士火山帯までに約200kmの火山空白域が存在する. 3つ目はその深さで, 那須火山帯の多くの火山が100km程度の太平洋プレートの等深線に沿って分布しているのに対し, 富士山付近では約150kmの等深線上にあるということである. 一方, 石賀・梅原(2014)は, 3D描画機能を持つプログラミング言語のVRMLを用いて, 日本列島の地下構造モデルを作成しており, このモデル中のフィリピン海プレートの形状(弘瀬ら, 2008を使用)は, 富士山を中心に逆お椀型の特徴的な形状をしている.そこで本研究では, 富士山の3つの特異性の原因は, フィリピン海プレートの形状に起因するとしてマグマ上昇経路の3次元シミュレーションを行った.その結果, 上の空白域のどの場所から上昇するマグマもフィリピン海プレートに遮られて最終的に富士山付近に到達するという結果が得られた.つまり複数の場所から上がったマグマがフィリピン海プレートの下面を伝って富士山の位置に集まりことで, 富士山が巨大化し, かつ富士山の周辺には火山が出来ないことが示された.
さらに今回用いた弘瀬ら(2008)フィリピン海プレート形状モデルとMatsubara et al.(2017)の地震波速度構造を比較を行い, 一部両者の整合性が悪い場所も見られながらも後者でもフィリピン海プレートの逆お椀型の構造が認められた.
以上から, 大きさ, 位置, 深さの富士山の3つの特異性は, フィリピン海プレート形状のみで説明できると結論付けられる.
さらに今回用いた弘瀬ら(2008)フィリピン海プレート形状モデルとMatsubara et al.(2017)の地震波速度構造を比較を行い, 一部両者の整合性が悪い場所も見られながらも後者でもフィリピン海プレートの逆お椀型の構造が認められた.
以上から, 大きさ, 位置, 深さの富士山の3つの特異性は, フィリピン海プレート形状のみで説明できると結論付けられる.