[SVC38-P18] 伊豆半島東部伊東沖の海底火山手石海丘の現状
キーワード:手石海丘、海底火山、活動度、化学フラックス、地殻熱流量
伊豆東部火山群に属する手石海丘は1989年7月に伊豆半島伊東市東方沖合約4kmで発生した海底噴火活動に伴い生じた、火口凹地を伴う海丘である。気象庁によると、伊豆半島東部の陸上域に分布する玄武岩~流紋岩質の多数のスコリア丘・タフリング・マール・溶岩ドームなどの小火山体と、これらの東方海域に密集する多数の海底火山の総称である。陸上部分について最大のものは大室山である。海底火山群については火山数、岩石の種類、活動年代等不明なことが多い。火山群は、この地域の広域応力場を反映して、北西~南東へ並ぶ配列がいくつも重なっている。大室山が約4000年前の噴火で形成され、その後約3200年前にはカワゴ平、約2700年前には岩ノ山-伊雄山火山列で割れ目噴火が生じたが、この後手石海丘で海底噴火が起こるまでこの地域での噴火はなかったと考えられている。
ところで、日本には110の活火山があるが、そのうちの12火山は海底に位置する。海底火山は、その全体が海面下にあるため、十分に活動が監視されておらず、火山噴火予知連絡会により、2003年に活動度によるランク分けが行われた際にも対象外とされた。そこで、本海丘において、現在でも活動が継続しているのか、1989年の噴火の際に貫入したと考えられるマグマが単純に冷却の過程にあるだけなのかを明らかにする目的で、2017年12月より、年2回、東京海洋大学の練習船を用いて海水組成及び海底下温度構造の観測を開始した。
まだデータの収集を始めたばかりであるが、温度計測については地温勾配の計測は行っているが、水深が浅い(120m程度)ため、地殻熱流量を得るためには水温変動の補正が必要で、そのための長期水温変動計測を昨年12月に始めた。一方、海水の化学分析では、火口凹地内の底層海水には周辺海水に比べやや全炭酸濃度が高く、また、顕著なマンガンの正の濃度異常が認められた。この全炭酸とマンガンの濃度異常から、まだなんだかの熱的活動が本火口内では続いていることが伺える。
ところで、日本には110の活火山があるが、そのうちの12火山は海底に位置する。海底火山は、その全体が海面下にあるため、十分に活動が監視されておらず、火山噴火予知連絡会により、2003年に活動度によるランク分けが行われた際にも対象外とされた。そこで、本海丘において、現在でも活動が継続しているのか、1989年の噴火の際に貫入したと考えられるマグマが単純に冷却の過程にあるだけなのかを明らかにする目的で、2017年12月より、年2回、東京海洋大学の練習船を用いて海水組成及び海底下温度構造の観測を開始した。
まだデータの収集を始めたばかりであるが、温度計測については地温勾配の計測は行っているが、水深が浅い(120m程度)ため、地殻熱流量を得るためには水温変動の補正が必要で、そのための長期水温変動計測を昨年12月に始めた。一方、海水の化学分析では、火口凹地内の底層海水には周辺海水に比べやや全炭酸濃度が高く、また、顕著なマンガンの正の濃度異常が認められた。この全炭酸とマンガンの濃度異常から、まだなんだかの熱的活動が本火口内では続いていることが伺える。