[S-VC38] 活動的火山

[SVC38-P24] GNSSキャンペーン観測による三宅島の地殻変動（2013年～2015年）

*渡部 陽奈¹、松島 健²、福井 海世、渡邉 篤志³、及川 純³、奥田 隆⁴、小澤 拓⁵、宮城 洋介⁵ (1.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、2.九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター、3.東京大学地震研究所、4.名古屋大学環境学研究科地震火山研究センター 、5.防災科学技術研究所)

キーワード：三宅島、GNSS観測

三宅島は東京の約180 km南に位置する活火山で，20世紀以降では1940，1962，1983，2000年と約20年の間隔で噴火を繰り返している．Fukui et al. (2015)　では，GNSSキャンペーン観測を行い2011から2013年における三宅島の圧力源の推定を行っている．そこで本研究ではさらに新しい期間である2013から2015年における三宅島の地殻変動と圧力源の位置，体積変化量を推定し，三宅島の圧力源の時間的変化を見積もった．

　2013年9月2〜6日，2015年8月31日〜9月4日に，三宅島全体にほぼ均等に分布するように配置した15点の基準点においてGNSSキャンペーン観測を行った．このGNSSキャンペーン観測で得られたデータと国土地理院等が設置している連続観測点の同期間のデータを使用した．得られたデータを解析するためにGNSSリアルタイム・後処理基線解析ソフトウェアRTKLIBver.2.4.2（高須・他, 2007）を使用し，年ごとの観測点の座標値を求めた．

　2013年から2015年における水平変位に基づいて圧力源を推定した．圧力源の推定変動の最適値は，火山の地殻活動を分析するために火山用地殻変動解析支援ソフトウェアMaGCAP-V（気象研究所地震火山部，2008）を使用することによって得られた．圧力源の位置は2011〜2013年とは大きく変化していないが，深さ0.3～8 km程度の浅部では圧力源の収縮傾向が継続し，深さ13 km程度にあると推定される圧力源が膨張を続けていることがわかった．

　本研究は，文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」および東京大学地震研究所共同研究プログラムの助成を受けて実施された．