[SVC38-P31] 阿蘇火山における水準測量2018
キーワード:阿蘇火山、地殻変動、2016年熊本地震
阿蘇火山周辺では2016年熊本地震による道路の寸断状況が2019年2月現在も継続している。しかし2018年4月には主要な道路の復旧作業が完了したため、我々は2018年9月30日から10月6日の期間において2012年9月以来となる水準測量を実施した。測量参加機関は、京大理、京大防災研、九大理、名大環境、日大文理、東濃地震科学研究所、東大地震研である。本講演では、熊本地震以降初めてでもある水準測量の結果を報告する。
水準測量は赤水、坊中、地獄・吉田、湯の谷の各路線(総延長は約42km)で実施された。地震時の地すべりやその後の災害復旧作業により遺失した水準点も少なくなかった(たとえばBM10406, BM10411)が、基準点を新設して対応した。その結果、すべての水準点間の往復測量が一等水準測量の許容誤差以内で行われた。特に27kmの閉合路線(BM10401~地獄路線〜吉田路線〜坊中路線〜赤水路線〜BM10401)における環閉合差が0.43mmとなり、高精度の測量を実施することができた。
2012年9月および今回の水準測量では、GEONET960701の基台である960701Aも測量路線に含まれている。そこで、2012年と2018年の測量期間をふくむ1ヶ月間のGEONET F3解の平均をとり、同期間の上下変位量をもとめ、この値を基準として、各水準点の上下変位量をもとめた。その結果、阿蘇山中岳火口の近傍の水準点(BM10408)において約30cmの沈降となった。そして、これらの上下変位量を、国土地理院による干渉SAR 結果の2.5 次元解析により得られた2016年熊本地震時の地殻変動の準上下成分と比較すると、その隆起・沈降域の分布やその量が概ね一致した。したがって、水準測量により検出された2012−2018年の上下変位は熊本地震時の地表変位をおおむね反映していると考えられる。
1963年以降の水準測量では、阿蘇山麓北側を不動点(基準)とした場合に、草千里(中岳火口から西約3km)を中心とするゆるやかな沈降(0.5cm/year以下)が検出されていた。しかし今回の測量結果は、2016年熊本地震時の地表変位を反映するもの(2012年9月と比較すると草千里周辺で約30cmの沈降)となり、火山性地殻変動検出という点では測量の継続性が途絶えてしまった。
しかし、今回得られた比高値は、今後の火山活動による地殻変動を検出する際のあらたな基準値として重要である。我々は、今後も繰返し水準測量を実施して行く予定である。
水準測量は赤水、坊中、地獄・吉田、湯の谷の各路線(総延長は約42km)で実施された。地震時の地すべりやその後の災害復旧作業により遺失した水準点も少なくなかった(たとえばBM10406, BM10411)が、基準点を新設して対応した。その結果、すべての水準点間の往復測量が一等水準測量の許容誤差以内で行われた。特に27kmの閉合路線(BM10401~地獄路線〜吉田路線〜坊中路線〜赤水路線〜BM10401)における環閉合差が0.43mmとなり、高精度の測量を実施することができた。
2012年9月および今回の水準測量では、GEONET960701の基台である960701Aも測量路線に含まれている。そこで、2012年と2018年の測量期間をふくむ1ヶ月間のGEONET F3解の平均をとり、同期間の上下変位量をもとめ、この値を基準として、各水準点の上下変位量をもとめた。その結果、阿蘇山中岳火口の近傍の水準点(BM10408)において約30cmの沈降となった。そして、これらの上下変位量を、国土地理院による干渉SAR 結果の2.5 次元解析により得られた2016年熊本地震時の地殻変動の準上下成分と比較すると、その隆起・沈降域の分布やその量が概ね一致した。したがって、水準測量により検出された2012−2018年の上下変位は熊本地震時の地表変位をおおむね反映していると考えられる。
1963年以降の水準測量では、阿蘇山麓北側を不動点(基準)とした場合に、草千里(中岳火口から西約3km)を中心とするゆるやかな沈降(0.5cm/year以下)が検出されていた。しかし今回の測量結果は、2016年熊本地震時の地表変位を反映するもの(2012年9月と比較すると草千里周辺で約30cmの沈降)となり、火山性地殻変動検出という点では測量の継続性が途絶えてしまった。
しかし、今回得られた比高値は、今後の火山活動による地殻変動を検出する際のあらたな基準値として重要である。我々は、今後も繰返し水準測量を実施して行く予定である。