[SVC38-P37] 水準測量によって測定された桜島火山の地盤上下変動(2017 年11 月~2018 年11 月)
キーワード:桜島火山、精密水準測量、地盤上下変動
平成26 年度より開始された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」における課題「桜島火山におけるマグマ活動発展過程の研究」の一環として,昨年度に引き続き,2018 年11 月に桜島火山において一等水準測量の繰返し観測を実施した.本講演では,この測量の結果について報告し,2017年11 月に実施した前回測量以降の桜島火山の地盤上下変動について議論する.
水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2 路線である.路線総延長は約21 km であった.これらの路線を,2018 年11 月12 日~29 日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.測量器材の事前調整を行い,これらの器材を用いて注意深く測量を行った結果,測量における誤差は,1 km 当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてそれぞれ±0.25 mm/kmおよび±0.18 mm/km となり,高精度の一等水準測量を行うことができた.
桜島西岸の水準点BM.S.17 を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を,前回の2017 年11 月に行われた測量結果(山本・他,2018)と比較することで,2017 年11 月から2018 年11 月の期間の約1 年間における地盤上下変動量を計算した.計算された地盤上下変動量から,桜島中央部付近において,地盤沈降(最大で-6.2 mm)が生じていることが確認された.また,桜島北岸に近い北岳路線の水準点においても地盤沈降が認められた.前々回から前回測量までの2016 年11 月から2017 年11 月の期間においては,北岳路線の水準点において地盤隆起が測定されていた.北岳路線において地盤沈降が測定されたことは,2018 年11 月までの1 年間に姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおいて増圧があったとしてもそれほど顕著ではないことを示唆する.
茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源の位置と体積変化量を求めた.測量を実施した水準点の空間分布が限られているため試行的な結果であるが,南岳直下の深さ約1.7 km に減圧源(体積減少量約37 万立方メートル)が推定された.2017 年11 月~2018 年11 月の期間,南岳直下のマグマ溜りにおいてはマグマ放出により減圧傾向であることが示唆される.
水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2 路線である.路線総延長は約21 km であった.これらの路線を,2018 年11 月12 日~29 日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.測量器材の事前調整を行い,これらの器材を用いて注意深く測量を行った結果,測量における誤差は,1 km 当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてそれぞれ±0.25 mm/kmおよび±0.18 mm/km となり,高精度の一等水準測量を行うことができた.
桜島西岸の水準点BM.S.17 を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を,前回の2017 年11 月に行われた測量結果(山本・他,2018)と比較することで,2017 年11 月から2018 年11 月の期間の約1 年間における地盤上下変動量を計算した.計算された地盤上下変動量から,桜島中央部付近において,地盤沈降(最大で-6.2 mm)が生じていることが確認された.また,桜島北岸に近い北岳路線の水準点においても地盤沈降が認められた.前々回から前回測量までの2016 年11 月から2017 年11 月の期間においては,北岳路線の水準点において地盤隆起が測定されていた.北岳路線において地盤沈降が測定されたことは,2018 年11 月までの1 年間に姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおいて増圧があったとしてもそれほど顕著ではないことを示唆する.
茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源の位置と体積変化量を求めた.測量を実施した水準点の空間分布が限られているため試行的な結果であるが,南岳直下の深さ約1.7 km に減圧源(体積減少量約37 万立方メートル)が推定された.2017 年11 月~2018 年11 月の期間,南岳直下のマグマ溜りにおいてはマグマ放出により減圧傾向であることが示唆される.