[SVC38-P39] UAVを用いた噴火中の桜島火山の火口内状況把握
キーワード:無人航空機、活火山、SfM/MVS、熱赤外画像
1. はじめに
活動中の火口地形を計測することは、火山学的にも防災上も重要な情報を得られるが、火口上空の飛行は噴火に巻き込まれるリスクがあり危険である。桜島の南岳は長期間にわたり活発な噴火を繰り返しており、地形の変化も激しい。南岳にはA火口とB火口があり、さらに東斜面に昭和火口がある。これまで、その形状を明らかにするために、国土交通省が、活動の合間に、航空レーザ測量を定期的に実施してきた。しかし、活動の活発化でこのような計測は困難となってきている。とくに昭和火口よりもさらに西側の、南岳山頂火口の地形計測が困難であった。そこで本研究では、桜島南岳山頂火口及び昭和火口の詳細な火口状況を把握するため、UAVによる近接撮影とSfM/MVSを活用した地形計測を試みたので報告する。
2. 桜島昭和火口、山頂火口の撮影
使用したUAVはMatrice210(DJI社製)で搭載したカメラはZENMUSE X4S(可視光)とZENMUSE XT2(熱赤外)である。DJI社製の機体には安全対策として、離着陸地点から対地高度500mの高度制限がかけられているため、立入り規制範囲外のアミダ川の上流部(標高600m付近)を離着陸地点とした。1100mまで上昇できれば、火口縁の高度よりも十分高い。
撮影は2018年11月29日AM9:58~、11月29日AM12:12~、11月30日AM10:05~の計3回、約15分の動画撮影方式で行った。1回目と2回目の撮影の間には、山頂火口で2回の噴火があり(11月29日AM10:19とAM10:48)、噴火前後の火口内の撮影にも成功した。
可視光での撮影では、麓の監視カメラではわからない昭和火口内部の状態を確認することができた。一方、南岳AおよびB火口の内部は、立ちこめる噴煙で、明瞭には撮影できなかった。熱赤外での撮影では、可視光ほどの解像度は得られなかったが、南岳山頂火口内部の噴煙の移動状況などを確認することができた。また、熱赤外ではヘリでの撮影よりも高解像度の動画を撮影することができ、昭和火口においては火口壁の成層構造も確認することができた。
3. 3Dモデルとオルソ画像の作成
撮影した可視光の動画から画像を切り出し、SfM/MVSにより昭和火口の0.5m解像度のオルソ画像と3Dモデルを作成した。モデル作成に使用した画像は452枚で、画像の切り出しからモデル作成までは約5時間かかった。昭和火口は、ほとんど活動が停止しており、一部の噴気を除けば、火口底を明瞭に撮影できた。一方、山頂火口(南岳A火口および南岳B火口)は噴煙の影響が大きく、火口上空に点群が多数あらわれ、火口底は判然としなかった。今後は可視光と比較して噴煙の影響が少ない熱赤外の計測結果を用いて、SfM/MVS解析を試みる予定である。
4. まとめ
今回のUAVの飛行コースは、昭和火口の真上から噴火中の南岳B火口の縁までは行ったが、活動中の火口上空には入っていない。噴煙の影響を排除し、よりクリアな映像を得るためには、火口上空あるいは火口内部への低空飛行が必要であると思われる。現状では映像はSDカードに記録されているため、帰着しての回収が大前提であるが、将来的には、通信によって得られる画像からのモデル作成が望まれる。
本研究は、文部科学省の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト課題D1の一環で行ったものである。離着陸地点の立入りについては京都大学と鹿児島森林管理署の協力と許可を頂いた、ここに記して感謝申し上げます。
活動中の火口地形を計測することは、火山学的にも防災上も重要な情報を得られるが、火口上空の飛行は噴火に巻き込まれるリスクがあり危険である。桜島の南岳は長期間にわたり活発な噴火を繰り返しており、地形の変化も激しい。南岳にはA火口とB火口があり、さらに東斜面に昭和火口がある。これまで、その形状を明らかにするために、国土交通省が、活動の合間に、航空レーザ測量を定期的に実施してきた。しかし、活動の活発化でこのような計測は困難となってきている。とくに昭和火口よりもさらに西側の、南岳山頂火口の地形計測が困難であった。そこで本研究では、桜島南岳山頂火口及び昭和火口の詳細な火口状況を把握するため、UAVによる近接撮影とSfM/MVSを活用した地形計測を試みたので報告する。
2. 桜島昭和火口、山頂火口の撮影
使用したUAVはMatrice210(DJI社製)で搭載したカメラはZENMUSE X4S(可視光)とZENMUSE XT2(熱赤外)である。DJI社製の機体には安全対策として、離着陸地点から対地高度500mの高度制限がかけられているため、立入り規制範囲外のアミダ川の上流部(標高600m付近)を離着陸地点とした。1100mまで上昇できれば、火口縁の高度よりも十分高い。
撮影は2018年11月29日AM9:58~、11月29日AM12:12~、11月30日AM10:05~の計3回、約15分の動画撮影方式で行った。1回目と2回目の撮影の間には、山頂火口で2回の噴火があり(11月29日AM10:19とAM10:48)、噴火前後の火口内の撮影にも成功した。
可視光での撮影では、麓の監視カメラではわからない昭和火口内部の状態を確認することができた。一方、南岳AおよびB火口の内部は、立ちこめる噴煙で、明瞭には撮影できなかった。熱赤外での撮影では、可視光ほどの解像度は得られなかったが、南岳山頂火口内部の噴煙の移動状況などを確認することができた。また、熱赤外ではヘリでの撮影よりも高解像度の動画を撮影することができ、昭和火口においては火口壁の成層構造も確認することができた。
3. 3Dモデルとオルソ画像の作成
撮影した可視光の動画から画像を切り出し、SfM/MVSにより昭和火口の0.5m解像度のオルソ画像と3Dモデルを作成した。モデル作成に使用した画像は452枚で、画像の切り出しからモデル作成までは約5時間かかった。昭和火口は、ほとんど活動が停止しており、一部の噴気を除けば、火口底を明瞭に撮影できた。一方、山頂火口(南岳A火口および南岳B火口)は噴煙の影響が大きく、火口上空に点群が多数あらわれ、火口底は判然としなかった。今後は可視光と比較して噴煙の影響が少ない熱赤外の計測結果を用いて、SfM/MVS解析を試みる予定である。
4. まとめ
今回のUAVの飛行コースは、昭和火口の真上から噴火中の南岳B火口の縁までは行ったが、活動中の火口上空には入っていない。噴煙の影響を排除し、よりクリアな映像を得るためには、火口上空あるいは火口内部への低空飛行が必要であると思われる。現状では映像はSDカードに記録されているため、帰着しての回収が大前提であるが、将来的には、通信によって得られる画像からのモデル作成が望まれる。
本研究は、文部科学省の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト課題D1の一環で行ったものである。離着陸地点の立入りについては京都大学と鹿児島森林管理署の協力と許可を頂いた、ここに記して感謝申し上げます。