[SVC39-P09] 栗駒地域赤倉カルデラの熱水系数値モデル
キーワード:熱水系、数値モデリング、カルデラ
赤倉カルデラは栗駒地域南部、山形県最上郡最上町赤倉温泉から宮城県大崎市西部の県境付近に位置する、東北地方の古カルデラのひとつで、約300万年前の大規模火砕流により形成された。本研究は、赤倉カルデラをモデルとして熱水系の発達の数値シミュレーションを行った。数値モデリングでは、カルデラ構造の形成に関わったマグマ溜まり(マグマ1)、逆断層に伴う高透水性の破砕帯と環状割れ目、石英充填不透水層、フラクチャークラウドなどの構造をモデルに反映させ、さらに活動時期が0.8~1.4 Maと推定されている後カルデラ期の火山活動をもたらしたマグマ溜まり(マグマ2)の定置を考慮した。計算期間はマグマ1の定置から現在までの300万年とし、マグマ1の定置から220万年経過後にマグマ2を定置した。マグマ1及びマグマ2の初期温度はどちらも1000 ℃に設定した。またマグマ2の大きさは直径2.5 kmおよび直径3.5 kmの2つの条件について計算を行った。数値モデリングの結果、マグマ2定置から約10万年後までであれば、深度5 kmで超臨界状態の領域が維持されることが示された。本結果より、赤倉カルデラのようなピストンシリンダー型カルデラで、後カルデラ期火山活動が開始してから10万年程度であれば、高温熱水系が発達していることが推測される。