日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-05] 地球惑星科学の進むべき道9:大型研究計画とマスタープラン2020

2019年5月27日(月) 13:45 〜 15:15 101 (1F)

コンビーナ:田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、春山 成子(三重大学大学院生物資源学研究科共生環境学専攻)、藤井 良一(情報?システム研究機構)、川幡 穂高(東京大学 大気海洋研究所)、座長:川幡 穂高田近 英一

14:54 〜 15:15

[U05-10] 地球惑星科学・諸科学・社会とのインテリジェントミュオグラフィ連携研究基盤構築

★招待講演

*田中 宏幸1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:muography

宇宙に由来する素粒子を用いた巨大物体内部の透視イメージング技術(ミュオグラフィ)を我が国が世界に先駆けて実証したことで、この技術に対する社会的関心が世界的に急激に高まり、国外では続々と社会実装が進んでいる。2019年現在、少なくとも英・米・仏・加・西・フィンランド・イスラエルにて7社のベンチャー企業が立ち上がり、炭素貯留、水資源確保、資源探査、地すべり調査、閉鎖生体系調査など地球惑星諸分野にかかわる様々な事業を展開している。一方、我が国ではミュオグラフィと社会との連携基盤構築が遅れているためにイノベーション創出において大きな後れを取っており、今のところベンチャー企業はゼロ社である。しかし、我が国は現在でも技術的に世界をリードする立場を堅持している。この国際的優位性を素地として、人工知能(AI)を実装したインテリジェントミュオグラフィ研究基盤構築を行い、我が国における関係諸分野の連携と社会実装を加速する。具体的には①地表技術、②孔井内技術、③宇宙技術各々において最も高い技術を要する火山、海底下、火星に実用可能なリサーチインフラを整備し、世界を先導する最先端技術学理を創出する。海底、地表、宇宙をシームレスにつなぐこの3種の技術は組み合わせる事であらゆるケースに対応可能であることから、波及力が強く、構築された技術学理を各分野の第一線研究者にいち早く提供することで、ミュオグラフィ分野における我が国の国際的優位性の堅持及び、関連する社会的課題の解決につなげる。また、人工知能(AI)の搭載により、限られた宇宙資源を用いるミュオグラフィの欠点を補完して、ミュオグラフィに新たな価値を付加することで実用化を加速する。全国共同利用共同研究機能、諸大学のTechnology Licensing Organization(TLO)機能及びインキュベーション機能を活用することにより、連携基盤についても整備を行い、知の地平性を広げる。ミュオグラフィだけができる挑戦的アプローチによって解決を提示し、新産業育成を加速することで、既に遅れをとっている我が国に再び世界的優位性を築き上げる。